日本にはブラック企業が山ほど存在するが、その内容はサービス残業やパワハラなど多岐に渡ります。もちろん趣味ではなく仕事になるので、仕事がきつい時もありますが度を越えていると体力的にも精神的にも参ってしまいます。国も様々な対策を講じていますが、中々解決には至りません。そこで国はホワイト企業の公開をしたわけですが、一体どんな基準を設けているのでしょうか。
安全衛生優良企業公表制度とは?
国が新しく作った制度に「安全衛生優良企業公表制度」があります。これはその名の通り、安心衛星な優良の企業を公表するといったものです。では安心衛星な優良企業とは一体どういう事なのでしょうか。
安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。
この認定を受けるためには、過去3年間労働安全衛生関連の重大な法違反がないなどの基本事項に加え、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働対策、安全管理など、幅広い分野で積極的な取組を行っていることが求められます。
出典:厚生労働省
厚生労働省からこの会社は、従業員の安全や健康に配慮して国からお墨付きをもらっているよ、という制度です。しかし問題が全く無い会社、従業員が誰もつらい思いをしていない会社など存在しません。
そこでメンタルヘルスの精神的な対策や、健康増進するにあたり対策をきちんととって実行している企業を公表するといったものです。
どういった基準で認定してもらえるのか?
一般的に言う「ホワイト企業」である事が焦点になります。休みや働き方について、従業員の為を思って積極的に対策をしているところが認定してもらえます。
1 安全衛生活動を推進するための取組状況
2-1 健康管理の取組状況
2-2 メンタルヘルス対策への取組状況
2-3 過重労働防止対策の取組状況
2-4 受動喫煙防止対策の実施状況
3 安全でリスクの少ない職場環境の整備の取組状況(製造業等※)
このような項目で取り組みが点数化され、その点数で一定以上を獲得する事によって認定を受けるというものです。現在は20社がこの認定を受けていますが、法令を遵守しているであろう大企業がほとんどありません、なぜでしょうか。
それは1度認定されると、何かの不手際があった際に各方面から非難を浴びることではないでしょうか。ホワイト企業が守れなくなったという事は、一歩間違えれば天国から地獄のブラック企業と避難されかねません。
もちろんメリットはあり、ホワイト企業だと一般に知れ渡れば優秀な人材を集めやすいということが1つと、一般競争入札で加点されるというメリットがあります。国も積極的に取得してほしいため、特に製造業にアピールしているという文面が多いです。
ホワイト企業一覧
2016年6月現在の一覧で、今後は増減が予想されます。
■製造業
・パナソニックエコソリューションズ池田電機株式会社
・メルテック株式会社
・株式会社IHIエアロスペース
・株式会社堀場製作所
・トヨタ自動車株式会社
・ニッポン高度紙工業株式会社
・宮崎工業株式会社
・加賀発条株式会社
・有限会社ファン工業
・パジェロ製造株式会社
製造業が圧倒的に多く、トヨタやパナソニックといった大企業も入っています。大企業だけでなく、地方の中小企業も入っており地方でこのような称号を得ると採用関連で他社を出し抜けるという利点があります。
製造業は特に危険が多く、工場や機械を使った事故や怪我がどうしても付き纏います。その対策として、安全な取り決めがされています。工事車両が通る場所では、縁石を黄色くしたり出会いがしらの衝突を防ぐ為に衝突防止にお金をかけていたりします。
他にも夏場で一定の温度を超えた場合、休憩を挟み塩分や水分を取る時間を設けられていたり、30度を超えるとアイスクリームを配るといった試みまであります。
■建設業
・寿建設株式会社
・東電同窓電気株式会社
・有限会社鈴木工業
・駿河重機建設株式会社
・やまこう建設株式会社
高所や地下など危険な場所でも、少しでも安全に作業をする為の施策が考えられています。「見える安活動コンクール」に応募して、安全化を競ったり作業員の安全や健康管理に、例えば腰痛になりにくい姿勢や、触れなくてもシールで細かく分かりやすく物事を明示していたりします。
作業員の安全だけでなく、一般の道を通る方への配慮や工夫もされています。確かに怪我をすれば自社の責任になりますから当然と言えば当然ですが、通常レベルより一歩踏み込んだ設備は企業にとっては中々勇気のいる事です。
■その他の事業
・株式会社フィデア情報システムズ
・株式会社エキ・リテール・サービス阪急阪神
・東京海上日動火災保険株式会社
・株式会社七十七銀行
・株式会社みちのく銀行
銀行やサービス業が入っています。社長自らチェックに回っているところや、時間外労働などを把握するための対策や健康・子育てに一般企業よりも進んだ検診や取り組みがされています。
男性の育児休暇の促進や有給休暇の促進など、働く従業員にとっては力を入れて欲しいところが重要視されている企業もあります。
働きやすい職場だと従業員のモチベーションや、顔つきも変わってきます。人と接する仕事だからこそ、気持ちよくお客様に対応することでお客側も気持ちよく利用することに繋がるのではないでしょうか。今後もホワイト企業が少しでも増えるように願うばかりです。