基本的に日本でフルタイムで仕事をしていた場合、正社員やアルバイトなど問わずにほとんどの人が厚生年金には入る事が出来ます。しかし中には加入できていない方も多く、その数は200万人以上と言われており、更にもっと増えるといわれています。これは東京の人口の約6分の1に相当し、あまりにも多い数です。
目次
厚生年金の加入は義務?
実は厚生年金の加入は義務ではありません。ある一定の条件を満たせば加入できるのであって、小さい会社では合法的に加入しなくてもよい事になっています。
1.常時従業員を使用する株式会社や、特例有限会社などの法人の事業所
2.常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(旅館、飲食店、理容店などのサービス業は除きます。)
3.船員が乗り組む一定の条件を備えた汽船や漁船などの船舶
出典:日本年金機構
強制的に厚生年金が適用される事業所は上記のようになっています。ここで気をつけたいのが、従業員が5人以上いない個人事業所は適用外という点です。
勘違いが多くなる原因ですが、日本にある全ての株式会社等の法人は厚生年金に加入する義務があります。法人の場合で従業員が3人しかいない場合は、どうなると思いますか?答えは「加入する義務がある」です。しかし加入していない事業所が多いのです、それはなぜでしょうか。
なぜ加入しなければいけない事業所が加入していないか
それは従業員が5人以上いないと加入できない、と勘違いしているのです。そして社長は5人未満は加入が必須ではないと従業員を騙しています。若い人は詳しくないのをいい事に、上手く丸め込まれてしまうのです。
私が実際に経験したことは、「厚生年金などの社会保険に入れない代わりに、給与は少し多くしてある」と言われることです。
そうすると若い人は「ああ、そうなんだ」と納得してしまい労働基準局や厚生労働省などへの相談をしなくなってしまいます。もし気付いて社長に相談しても「嫌なら辞めてもらっても」と開き直る可能性が高いです。
私自身も昔遭遇しましたし、私の知人も今現在フルタイムにも関わらず加入できていません。会社名を聞けば誰でも知っている企業ですが、フランチャイズでオーナーが独立した方が経営しています。周りで改善を唱える従業員がいないそうで諦めているそうです。
厚生年金に加入、どうすればよいか?方法は3つ
1つ目は直接経営者に直談判することです。未加入は違法なので加入して欲しいと伝えましょう、その際は他の従業員も巻き込んで総意だと伝えます。その結果加入してもらえればマシですが、開き直ったり断られる場合はブラック企業もよいところでしょう。
2つ目は転職して辞めることです。従業員の将来も考えてくれない会社とは、おさらばして福利厚生がきちんとついている会社に転職しましょう。その際にハローワークや労働基準局に通報しても構いません。
3つ目は、会社に残っていたいが入ってくれない場合は、労働基準局等に相談しましょう。もちろん違法ですので、指導に入ってくれるはずです。その際は少なからず社長との仲が悪くなるかもしれませんが、仕方ありません。
私の場合は経営者の次の店長職でしたので、話し合いの末加入を勝ち取りました。少し時間はかかりましたが、売上を上げていたので社長側も折れてくれました。数年後退職するまでの間だけの加入でしたが、その数年が後々ボディーブローのように効いてきますので、勇気を出して話し合いをして良かったと今でも思っています。
経営者が厚生年金に加入させない理由を知ろう
ではなぜ経営者側が加入しないのでしょうか。それは、負担が大きいという事です。厚生年金や国民健康保険などは会社と従業員が折半して払います。従業員だけに払わせると会社の負担はありませんので、会社は痛くもかゆくもありません。しかし社会保険に入ると、経営が厳しい会社は一気に倒産の方へ傾いてしまいます。いっそのことそんなブラック企業は倒産したらよい、とは思いますが従業員にも生活があります。
日本の3分の1が違法をしている驚愕の事実
厚生年金への加入を違法に逃れている疑いの強い中小零細企業が約80万社にのぼることが、厚生労働省が国税庁から情報提供を受けて行った調査で明らかになった。
日本には違法に逃れている会社が80万社あります。全事業所が250万社の為、実に32%の事業所で違法な未加入が行われているというのです。
しかし将来の結婚や子育てをするにも、十分な備えや怪我や病気の対策としても厚生年金は強い味方であり、未加入者が増えていると日本経済にとって何も良いことはありません。国の推定では200万人とは言っていますが、軽くその人数は超えるのではないでしょうか。
もう1度言います、フルタイムで働いている場合は加入義務があり、加入をしていなければ違法です。すぐに対策を取る為に動きましょう。