試用期間中に社会保険に入れないのは、よくあること?

新しく働く職場が決まり、契約書にサインして、さあこれから頑張ろうと思ったときに出鼻をくじかれることがあります。それは最初の3ヶ月なり6ヶ月の試用期間中は「社会保険」には入れないと会社が言うのです。これってよくあることなのでしょうか。


そもそも社会保険とは?

社会保険とは「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の5つです。この内、40歳以上の人しか関係がないのが介護保険で、国民健康保険に入っていると自動的に加入した事になります。

労災保険
働いている最中に怪我をしたり、病気になった場合に給付されるものです。全ての労働者が加入できるもので、掛け金は全て会社負担になります。これが無いような会社はほぼブラック企業といっていいほど、機械に手を挟まれたり火傷をしたり、薬品などの仕事場で体に異常をきたしたり、これに入っていないと何も手当てが出ません。アルバイトでも派遣でも全ての人が入れるのが労災保険なのです。

雇用保険
失業したときに生活の心配をしないで済むように、給付(失業手当)が受けられる保険です。正社員で加入して無い場合はまずブラックで、労働者を1人でも雇っていれば入る必要があります。パートタイムでも1週間の内20時間以上働いていれば加入できます。辞めたり解雇された場合に、すぐに次の働き先が決まっていればいいですが、そうでない場合はまず就職活動からスタートです。焦らない為にこの保険があります。会社と労働者が折半して加入します。

健康保険
病院に行く際に必ず必要になるのが健康保険ですが、国民健康保険とは異なります。国民健康保険は全て自腹ですが、健康保険は会社と折半です。5人以上従業員のいる会社は必ず入る必要があり、そうでなくても正社員は必ず入れます。しかし実際は加入していない中小零細企業は多く、保険料の折半が会社にとって大きな負担となるようです。

厚生年金保険
自営業の方は国民年金があり、働いている方は厚生年金保険があります。しかし厚生年金保険の方が国民年金よりも上乗せがあり、将来もらえる金額がかなり異なります。これは健康保険とセットになっており、小さい企業では加入していないところも多く、そのような会社は従業員の将来の事は考えていません。必ず入れる権利であり、入っていない場合は社長に直談判しなければいけないのです。

試用期間中でも必ず社会保険には加入できる

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試用期間中でも雇用している以上は必ず入れます。しかし中には加入させない企業もあるそうで、問題になっています。

先日内定を頂きましたが、試用期間中に社会保険が無いことが発覚しました。内定先は30名程度の小さな広告会社で、創業から20年前後。某大手転職サイトから正社員の求人に応募し、面接以外は全てメールでやりとりをして内定もメールで頂きました。

出典:試用期間中に社会保険が無いと言われ、対応に困っています。

試用期間中は契約社員で正社員ではない、3ヵ月後から正社員なのでそれから加入できるとの会社の言い分です。しかしこれは違法であり、完全にブラックです。

パート、アルバイトでも、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の分の4分の3以上あれば加入させる必要があります

出典:社会保険 厚生労働省

このように厚生労働省のページにしっかりと明記されています。非正規の場合は労働条件により加入させない場合がありますが、正社員の場合は必ず加入しなければなりません。正社員で加入させないでいる事は、健康保険法違反です。

社会保険に加入しても全額自己負担なんてアリなの?

社会保険の全額自己負担はありえません。しかし世の中にはいろんなブラック企業があります、中には企業が払う分を自己負担させられている方もいます。

社会保険は会社が半額負担ではないのでしょか?最近気づいたのですが、社会保険が全額給与から引かれていました。

出典:社会保険は会社が半額負担? 教えてgoo

労災保険は会社負担、残りの雇用保険・健康保険・厚生年金保険・介護保険は会社と折半が決まりです。自己負担でしか加入できないのは違法で、社会保険庁等に相談して改善をしてもらいましょう。

将来の為を考えると、求人票の見るべき項目は決まっている

求人票で仕事を探す際、社会保険があるところを選びましょう。これだけで将来もらえる年金が異なったり、いざという時の備えに対しても万全の体制で臨むことが出来ます。出来立てのベンチャー企業などでは別ですが、基本的には社会保険の無い企業に勤めるのはやめましょう。