これもソーシャルレンディング(クラウドファンディング)?日本で8,000人から85億集めた会社が破産した

ソーシャルレンディング(クラウドファンディングとはほとんど同じ意味)とは、お金を出資してほしい企業と、お金を出資したい投資家を結び付けているサービスの事を指します。今回取り上げるのは、似たようなケースで投資家から投資資金を集め、倒産した化粧品会社を見てみます。

(株)goodgo99という会社が倒産したということだが、この内容について一瞬ソーシャルレンディングか?と思った。まずは帝国データバンクの速報を見てみよう。

出典:帝国データバンク 大型倒産速報

(株)goodgo99(資本金900万円、港区浜松町2-7-15、代表黄秀榕氏)は、7月3日に東京地裁へ自己破産を申請し、7月7日に破産手続き開始決定を受けた。
2012年(平成24年)8月に設立された化粧品販売業者。大阪、東京にオフィスを有し、アンチエイジングコスメおよび美容食品、健康補助食品などを利用した連鎖的な取引を行い、多数の会員を集めていた。しかし、ここに来て資金繰りが悪化するなか、今回の措置となった。申請時の負債は債権者約8000名に対し約170億円だが、今後の債権調査により変動する可能性がある。

会社の代表者は外人のようだ、化粧品販売会社で「連鎖的な取引」をして会員を集めていた。この連鎖的なというのがミソだろう。

違う記事でこのような記載があるので、こちらも見てみよう。

出典:8000人から85億円集め、化粧品会社破産

7日付。破産管財人の弁護士や東京商工リサーチによると、女性ら約8000人から計約85億円を集めており、負債総額は約100億円とみられる。

同社は2012年8月に設立。管財人によると、「代理店契約を結んで出資すれば、化粧品を販売した利益を還元する」と呼びかけて資金を集めていた。資金繰りの悪化で一部の出資者にしか支払えなくなり、債務超過に陥っていたという。債権者集会は12月2日に予定されている。

85億円を単純計算で8,000人で割ると1人当たり106万円となる。

対象となっているのはほとんどが女性であるということ、投資対象商品が化粧品であることを考えれば当然か。問題は、出資すれば「販売した利益を還元する」という点だ。

配当がどうなっていたか、契約の細かい事は分からないがここまで読んでいくとピンと来る方が多いのではないだろうか。

連鎖的な取引がある
会員を集めていた
代理店契約を結ぶ
販売した利益の一部がもらえる

無限連鎖講の防止によって禁止される「ねずみ講」の疑いが強い。これは警視庁のページにしっかりと明記されている。

出典:警視庁 マルチ商法

この商法で売られるものには、化粧品、健康食品、健康器具などいろいろな商品があります。販売員になると高い利潤を得ようとして、たくさん仕入れをしてしまったにもかかわらず、思ったほど会員の勧誘ができず、仕入れた商品が売れないため、不必要な売れない商品を抱えてしまうことになるといった問題が生じやすいことから、この商法は、「特定商取引に関する法律」により「連鎖販売取引」として厳しく規制されています。会員を増やせば利益になる、”誰でも” ”簡単に”儲けられるといった甘い言葉にも注意しましょう。

警視庁があげているポイントは下記だ

化粧品、健康食品、健康器具等が多い
会員になる
紹介するとリベート・マージンがはいる
簡単にもうけられると向こうから営業してくる

ほとんどコレに該当しているのではないだろうか。ヤフーの知恵袋でこの会社名を検索するとかなりの件数がヒットする、内容が大丈夫かどうかというのがほとんどだ。

一般的に投資をする際の基本的な事は、下記の4つ。

良く分からないものには投資をしないこと
なぜあなたに紹介するのか考えよう
本当にお得で薦めてくるのなら自分でやっているはず
上手い話は情報に疎い人には回ってこない

今回の件に関しては、設立して3年以内での倒産なので実績なども良く分からない。現時点で詳細も分かっていないので、今後明らかになっていくだろう。


では、今回に似た内容がソーシャルレンディングで募集されていた場合はどうか?

投資対象:化粧品会社
投資金額;100万円から~
運用期間:3年
利回り:3~7%(売り上げによる)
内容:今まではこのような化粧品を開発していた。次は○代をターゲットにした商品を開発するから、投資資金を集めている

さて、どうだろうか。これを考えてみると貴方は投資をしますか?この投資をする上での判断基準は主に3つある。

1つ目:募集をしているソーシャルレンディングの会社は信頼できるかどうか。保証は?抵当権は?失敗したときどうなるの?そういう説明が明確にされているかどうか。

2つ目:化粧品を開発していたとあるが、具体的な名称は出ているのか?出ていないなら怪しい。「20代を対象とした化粧品を販売し、100万本売り上げた」などの本当かどうか分からない場合も疑うべきだ。

3つ目:現在、投資対象となる商品は開発されていなくて、売れるかどうか全く分からない商品なのに利回りが出ている根拠は何か?ということ。赤字になった場合は、配当なんて出せれるはずも無いですよね。

世の中の怪しい投資に限っていえば、元本を少しずつ配当と偽り償還していき、錯覚させるという手法が取られる場合が多い。信頼させていき、もう1度お金を出させてドロンされる、今まで日本にこのような投資はどれほどあったことだろうか。

私が投資家ならこのような「胡散臭い案件」には手を出さない、CMをやっているような化粧品の会社なら信頼してしまいそうだが、そんな会社はそもそも個人に出資など求めない。銀行から借りたり、実績がある会社なら自社の利益から新商品の開発資金等のお金は十分に出るだろう。

ネットで「投資」などで検索すると怪しい投資情報等もわんさか出て来るが、引っかかる人がいる限りなくなることは無いだろう。ただし、実際にやってみないと分からない案件が多いのも事実、ハイリスクを承知でハイリターンを選ぶのか、それは自己責任に委ねられる。リスクを取らないでリターンを得ることは不可能だからだ。

自分が働いて給料をもらうのも、働くという時間や体力というリスクを使い、給料というリターンを得ている。

自分の利益だけではなく、どうやってお金がでていき、回ってるかを考える必要がある。反面教師として、自分に言い聞かせ判断する能力を磨かなければいけない。