海外ETFを購入して保有すると、通常は売却益や売却損が出たり、配当金・収益分配金といったものが出て税金が発生します。日本国内の株や投資信託では「日本の税金」だけを意識すれば良いのですが、海外の株やETFに手を出すと現地の税金が発生して税金が複雑になります。
海外ETFを「特定口座」で管理している場合
海外ETFを特定口座で購入し、売却益や売却損が発生した場合は金額によって税金が絡んできます。配当金・収益分配金も同じで税金の事を考えなければなりません。
多くの方が「特定口座(源泉徴収あり)」で口座を開いていますので、計算は証券会社が行ってくれ「特定口座年間取引報告書等」を郵送してもらって確定申告をします。
それは楽天証券だろうがSBI証券だろうがどこでも同じですが、注意すべきポイントは「郵送」で送ってもらうこと。最近では証券会社と我々口座開設者側の双方にとってメリットのある「電子交付」が多くなっています。何回も取引が発生した場合や、何回も配当金・収益分配金が発生した場合、その都度支払いの通知書などが発行され書類が多くなり面倒になるためです。電子交付は良いことばかりではなく、1つだけ問題が発生します。
しかし確定申告の際は電子的に交付された「特定口座年間取引報告書」は利用することが出来ません。郵送で受け取ったものを直接提出する必要がある為、確定申告をする際は注意しましょう。上記のようにSBI証券では「電子交付」から「郵送に変更」ボタンを押して切り替えておきましょう。
私の場合はSBI証券で「電子交付」のままになっていたのを年末に気が付きました(今回はNISAのみの取引ですので特に郵送にする必要はありませんでしたが)。大抵は1月1日現在の住所を基準に発行されますので、引越しして住所が変わっている方も要注意です。
海外ETFを「NISA口座」で管理している場合
NISA口座で取引をした場合は確定申告の必要はありません。なぜなら「売買益」「配当金」は非課税扱いとなるからです。ちなみに損をした売買損失も「無いもの」として処理されますので、損益通算などは存在しません。
ここで気になるのが税金ですが、海外ETFや海外株式を持っている場合は「税金が発生」しています。それは米国のものなら米国の税金となります。
例えば配当金が18.6ドル発生したとします。通常NISAで無い場合は日本で約20%(3.72ドル)の所得税・住民税といったものが源泉徴収されます。そして米国で約10%(1.86ドル)の税金が発生して合計で30%税金として持っていかれます。しかしこれは「二重課税」となっています。
NISAの場合はこの日本国内約20%の税金は発生しませんので、米国の10%(1.86ドル)のみ引かれて配当金・収益分配金が入ります。しかし「NISAは非課税なのに税金が引かれている・・・」と感じる方もいるかもしれませんが、あくまでも国内のみの措置ですので米国は関係ないのです。
では税金が発生したので確定申告は必要なのでしょうか、これに関しては必要はありません。なぜなら「二重課税」された時のみ確定申告で取り戻せるからです。
問題になるのはNISAが終わった後
NISAの期間が終了すると、その時の基準の価格で特定口座に移管されます。そうすると「二重課税」が発生することになります。日本国内の約20%の税金は支払う必要がありますが、米国に納めた約10%の税金は確定申告で申告し、「外国税額控除の適用」で取り戻す事が出来るのです。
つまり形の上では30%税金が発生しますが、特定口座では調整することで20%の税金で納まるのです。NISAでは10%引かれて確定申告不要・特定口座では確定申告して10%を取り戻す、この事だけ覚えておきましょう。
確定申告は不要だが証券会社に限った話
ではNISA口座の確定申告は不要だから確定申告はする必要無いんだ・・・と安心してはいけません。社会保険料や医療費に生命保険といった控除で戻ってくる可能性のあるものや、他で運用益や副業で利益が出た場合(サラリーマンで20万円以上等)は確定申告をする必要があります。
証券会社関連の確定申告が不要になるだけで、確定申告そのものをしないでいいという事ではないので間違えないようにしましょう。私の場合は楽天証券の特定口座で確定申告する必要があり、SBI証券のNISA口座で確定申告する必要が無いということになりました。口座の種類で証券会社を分けていると、税金の申告が楽になります。