仕事場へ通勤する方法として、電車(新幹線含む)やバスといった「公共交通機関」を使う方もいれば自家用車で自動車通勤する方もいます。中にはフェリー(船)やJALにピーチといった飛行機を使う方もいるかもしれません。自分の寝坊で遅刻するなら給料はカットされて当然ですが、公共交通機関の場合は問題ないのでしょうか。
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公共交通機関で遅刻が決定的な場合
通常は人身事故や大雨・台風の影響で遅刻する場合、ある程度間に合わないことは事前に分かるものです。アナウンスもされていますし、ホームページ上で「延滞・運転見合わせ」のお知らせが出ているからです。前もって分かっていれば、予め会社へ電話をしてその旨を伝えます。
そして降りた最寄駅で「延滞証明」をもらい、必要であれば会社に提出します。もし延滞していた箇所から遠くて配布していない場合、駅員さんに言ってもらうか、それを忘れた場合は会社で印刷することが出来ます。
上記から該当の履歴ページで印刷をすれば、延滞証明書をもらわずに証明になるのです。駅員さんからもらわなくても、「確かに延滞していた」という証明があれば良いからです。
一般的に遅刻は「電車は許される」が「自動車は許されない」
電車で遅れた場合は「仕方ない」で済む場合が多いですが、自動車の場合は自己都合の遅刻扱いになるケースがほとんどです。これは電車が公共交通機関とされているもので、遅れないことを前提に認識されているからです。ですので「証明書」をもって判断されるというわけです。
もちろん遅れてもいいや、ではなくその分仕事で他の方やお客様に迷惑をかける可能性があるので残業したりし、仕事を頑張る必要があります。ですので自動車通勤の方はぎりぎりに到着するのではなく、渋滞した時の為に余裕を持って会社に着くよう早めに出ている方が多いのです。
電車が遅れれば給料に影響するのか?
私が働いていた会社では電車が遅れた場合「延滞証明」をもらい見せることで、お咎めはありませんでした。つまり給料には何の影響も無かったのです。しかしそれでは他の社員や会社に迷惑をかけている事になるので、少し残業をして穴埋めをしていました。
しかし中には遅れた分は「遅刻」扱いで給料から差し引くという会社もあります。これは社会的に許されるのでしょうか。アルバイト・パートの場合は「時間給」ですから引かれるのは当然ですが、正社員・契約社員等には適用されるのでしょうか。
公共交通機関の延滞における法律上の解釈について
法律上では電車延滞にて遅刻した場合、給料は支払わなくて良いとされています。その根拠は「労働契約法第六条」の「労働契約の成立」です。
第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
これはいわゆるノーワークノーペイの原則と言われるもので、仕事をしていなければ給料は支払われないというものです。これはたとえ月給制で月に20万円と決まっていた場合でも適用されます。よって正社員であろうが、契約社員やパートであろうが全てにおいてこの労働契約法は適用されるのです。
派遣社員の場合は、派遣元との就業規則での確認となります。自社の社員に適用されるからといって、派遣社員の雇用契約は自社の社員とは別になっているので注意が必要です。
結論:一般的に遅刻はどんな理由であれ給料は出ない
遅刻については電車が延滞していようが、自動車が混んでいようが基本的には給料が引かれたり、カットされることに問題はありません。しかしカットされない会社もありますが、それは会社側の「好意」であり、当たり前と思うものではないのです。大きい会社ほど制度が厳格化されており、小さい会社ほど「仕方ないね」と親切感として対応してくれるのではないでしょうか。これはもう会社によりけりです。
電車が遅刻して損害を被った、訴えることは可能か?
電車が遅れる事によって会社側が損害を被る可能性があります。例えば大事な商談が電車の延滞で破談したり、お客の元へかけつけるのに遅れてトラブルになったというものです。この場合は、鉄道会社に「損害賠償請求」することは出来るのでしょうか。
答えは「出来ない」です。通常は「目的地まで時間通りに届ける」とされていますが、実は鉄道を利用している人は私鉄であろうが地下鉄であろうが「旅客運送契約」の元、電車の利用をしています。
電車が動かなくなったり、あまりにも長い時間延滞する場合は払い戻しには応じます。しかしそれ以上の損害については免責となり責任を負う事はありません。これは電車に乗っているだけで契約成立しているもので「そんな契約知らない!」と思われる方がほとんどでしょう。
どこかのテレビ番組で、テレビに文句があるなら見るなと言っている芸能人がいました。それと同じように電車も遅れるのが嫌なら利用をするなと言わざるをえなくて、公共交通機関とは言われていますが時間通りに運んでくれるのは電車側のサービスや好意であり、義務ではないのです。あまり時間通りに行くことを信用せずに、少し早めに出たり人混みを避けたり渋滞の前に通るなど少しの工夫で遅刻は回避できるかもしれません。