マイカー通勤可能で「駐車場代自己負担」っておかしくない?その意味を考えてみよう

東京や大阪のいわゆる都会の中心部では、普通・快速・急行・特急といった電車通勤(稀に新幹線通勤も)となる方が多いでしょう。しかし地方ではマイカー通勤、つまり自分の自動車で通勤する方が圧倒的に多いのが現状です。しかし駐車場代を自己負担にしている企業もあります、なぜ従業員に負担させるのでしょうか。


求人票に書かれている「交通費」の項目について

求人票の規定欄・待遇欄に交通費支給(規定有り)と書かれている場合があり、マイカー通勤可やマイカー通勤不可と書かれている場合もあります。全額支給と書いてあっても実際は限度があり(常識の範囲内でという意味)、中には自腹で負担させる場合もあります。

基本的に電車通勤はよほど遠方でない限りは会社負担で「全額」出る場合がほとんどです。正社員でなくても契約社員・派遣社員・アルバイトやパートの場合でも全額出る場合が多く、かなりの遠方でも半額は出るでしょう。

県が違うほどの遠方であっても、中には企業で中々人が集まらなくて人材不足であったり、あなたに魅力があり遠方でも採用したいと言ってくる場合があります。その場合は規定をオーバーする場合があり、交通費を自己負担する場合もありますが、近隣で1人暮らしをする為(交通費全額補助圏内)に引越しをするとなると引越し費用も手間もかかります。実家から出る場合は家賃や光熱費がかかります。その事を考えれば、ある程度の給料をもらえるならば、自己負担もやむを得ないでしょう。

駐車場代を「自己負担」にしてくる会社がある

電車通勤の場合はかかる費用が1つだけ(電車代の定期券)だけですので、あまり問題にはなりません。しかし自動車通勤の場合は異なります。

自動車でマイカー通勤となると「ガソリン代金」「駐車場代金」「オイル交換・消耗費」がかかります。最後の消耗するのは仕方が無いとしても「駐車場代金」はどうでしょうか。ある程度の規模の会社ならば、自社の敷地内に「従業員用」「お客様用」の駐車場を設けています。

しかし都会や営業所(雑居ビル入居)などでは確保されていないケースもあります。その場合は、誰かがその駐車場代を負担しなければなりません。1ヶ月5,000円であったり20,000円であったりと地域によって異なりますが、これは通常会社が負担すべきです。

駐車場代の会社における税金について

有料の駐車場を借りる場合は、個人で契約させて会社が負担すると税金が高くなります。これは「全額給与所得」とみなされるためです。従業員個人の債務を負担しているためです。

駐車場代金を「通勤手当」として支給する場合は非課税枠の中であれば、所得税がかからない場合があります。詳しくは国税庁のページをご覧下さい。

11-2-2 事業者が使用人等で通勤者である者に支給する通勤手当(定期券等の支給など現物による支給を含む。)のうち、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして取り扱う。

出典:消費税法基本通達 第2節 課税仕入れの範囲 国税庁

国税庁のページによると、通勤に必要だと認められる部分かそうでないかによって、課税される場合とされない場合に分かれるのです。該当部署・税理士・会計事務所等へ確認しましょう。

そもそも駐車場代を自己負担させるケースは「会社の経営状態」が悪いから

基本的に交通費が増えると社会保険(厚生年金や健康保険)の支払額が増えます。会社が一括借り上げして従業員に使ってもらうのも方法ですが、小さい会社では嫌がるところもあるでしょう。しかし嫌がるという事はそれだけ会社の「財務状態が悪い」という事に繋がります。

昇給賞与はおろか内部留保も少なく、駐車場を確保するだけの資金も苦しいというのが本音です。ある程度余裕がある会社ならば従業員に気持ちよく働いてもらう為に「福利厚生」の一環として会社が支払うものです。従業員の駐車場代なんて絶対に支払いたくない、と思っている会社で昇給や賞与、今後の働き方に期待できるのでしょうか。

事前に面接や入社前に確認すること

最終面接時や入社前の契約書などにマイカー通勤の場合、どのような会社からの支給があるかが提示されています。しかし電車代の交通費は全額会社負担(実費支給)されているケースが多く、電車で通えるならば電車で通った方が良い場合もあります。

どうしても自己負担が嫌だというならば、そんな会社は最初から入社しないでおくか無理してでも電車通勤にしましょう。どの道、駐車場も確保できないようなら、今後の福利厚生もあまり期待できそうにありませんから・・・。

もしマイカー通勤の駐車場代が自己負担になったとしても、会社が半分以上を支払ってくれる場合が多く全額天引きされたり全額自己負担になるケースは稀です。8,000円の駐車場代で5,000円が会社負担で3,000円が自己負担で天引きなど、会社と相談してみましょう。

1つ注意したいのが、天引きされずに給料袋等で個別に会社に現金で納める場合は、処理や記録の不備になりますので横領罪の疑いも出てきます。天引きに出来ないという場合はありえません。なにか良からぬ事を企んでいると思ったほうが良いでしょう。

ちなみに入社時や求人情報欄に駐車場代が「無料」と謳われており、入社後に「有料」となった場合は虚偽記載の疑いがあります。労働局やハローワーク等へ相談することが大事で、従業員の事を考えない会社の為、今後いろいろなところで問題が出てくるものと思われます。