給料が「当月末締め」「当月20日払い」何と残業代は「翌月払い」、これって違法じゃないの?

1ヶ月働いて給料をもらう、それはどこの会社でも同じ事ですが「いつ」もらうかは会社によって異なります。普通は「働いた分だけ」給料をもらいますが、前払い制度と思われる支払い方法があるのです。しかも残業代がすぐには支払われないと聞きます、これって法律上問題は無いのでしょうか。


給料の締め日について

給料の支払いには「締め日」「支払日」が存在します。給料の締め日とは「その基準となる日」まで働いた分で労働時間をカウントし、支払日にカウントした分だけ給料として振り込まれ(手渡し)るというものです。よくあるパターンが以下の通りです。

・当月15日締め→当月25日支払い
・当月25日締め→翌月5日 or 10日支払い
・当月末締め→翌月15日 or 25日支払い

これには「基本給」「残業手当」「家族手当」「役職手当」「通勤手当」など全てが含まれており、締め日まで働いた分が支払日に処理されます。さすがに翌々月払いというものは、委託や外注といったものでない会社勤めである場合は見かけません。

締め日が来る前に「支払日が先に」来ることがある

求人票を見ているとこのような記述を見かける場合があります。

・締め日「当月末締め
・支払日「当月20日払い

これを見て「うん?」と思った方、そうなんです。通常は締め日がきてそこまでの分を総務・経理などで計算し、支払日に振り込まれるようにします。しかしここではそれが逆転していて、締め日が来ていないにも関わらず支払日が先にきているのです。会社によって処理の仕方は異なりますが、どのような事が考えられるのでしょうか。

働いていないのに給料がもらえる、前払いということ?

例えば5月20日に給料が「満額」振り込まれますが、それは5月31日までの給料です。つまり5月31日まで「勤務したもの」として振り込まれています。みなし残業手当(固定残業代)の給料版のような感じでしょうか、いや少し異なります。

・みなし残業手当(固定残業代)=残業をしなくても支払われる
・みなし勤務の給料=欠勤したり辞めると返金が発生する

みなし残業手当は残業があろうがなかろうが、全く関係なく一律で支払われます。しかし給料は「働いたものとみなして」振り込まれるのであって、働いてない場合は来月の給料から差額が減額されたり、返金が発生するのです。

残業手当が当月で付いていない、来月って違法じゃないのか?

サービス残業の話は置いておいて、通常の残業手当は「当月」と書かれている以上は当月で処理されるのが普通です。しかしこの前倒しにされた給料支払いでは「残業代の計算はできない」のです。

アルバイトやパートの場合は、シフトや休みの関係上で毎月の給料は固定とならない事が多く発生します。しかし契約社員や正社員の場合は、固定給や手当ては一律で支払い金額の計算が予め可能です。しかし残業が何時間発生するかについては「不明」な為、来月に支払いが繰り越されるということなのです。

しかし労働基準法第二十四条では、このような記述がされているのをご存知でしょうか。

(賃金の支払)
第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

出典:労働基準法 電子政府の総合窓口e-Gov

基本的には毎月1回以上は支払わなければなりませんが、「全額一括支払い」とは書かれておらず「ずらして」支払うことは特に問題は無さそうです。これは20万なら20万、30万なら30万と決められた金額をきちんと労働者に「会社が何かと理由をつけて控除や搾取せずに」全額支払うよう明記されていると言われています。

よって残業代が来月になるのは特に問題は無さそうだといえますが、固定残業代の場合は話は別です。これは予め金額が分かっているため、同じように支払日で支払われるのが基本です。

基本給や手当てが今月もらえるのに、みなし残業手当(固定残業代)が来月になることはまず考えられません。もし会社がそのような支払いをしている場合は、会社に説明を求め納得できない場合は最寄の「労働局」に相談しましょう。