有給休暇は「1月1日」にまとめて支給、では「1月2日」に入社したら1年待たないともらえないのか?

有給休暇は支給されるタイミングや日数が法律で定められています。入社後に条件を満たせば6ヵ月後に支給されますが、1月1日・4月1日・7月1日といった特定の日にまとめて支給する会社も存在します。中途半端な時期に中途採用で入社した社員がいるにもかかわらず、これは一体どういう事なのでしょうか。


有給休暇の付与は通常は「期間経過後」にもらえる

有給休暇とは「年次有給休暇」と言われ、有休と略されることもあります。これはアルバイト・パート・派遣・契約社員・正社員問わず、基準を満たした方へ労働者の権利として一律で支給される「給料がもらえるお休み」です。

条件は労働日の「8割以上」出勤した労働者に与えられます。

勤務日数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以降
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

入社日から6ヶ月経過すれば「10日」、更に1年が経過すれば「11日」もらえるといったものです。しかし会社によっては「有給休暇の一斉付与」をしている会社があります。

有給休暇を一斉付与する、とはどういう意味か?

通常は「6ヶ月経過後」「1.5年経過後」と期間が決まっています。遅れて支給することは不可能ですが、前倒しで支給することは問題ありません。

・1月1日に全社員に支給
・4月1日に全社員に支給

分かりやすいように「1月1日」もしくは「4月1日」の年1回もしくは年2回と決め、一斉に従業員へ有給休暇を付与している企業が多いのです。なぜこんなことをしているのでしょうか、それには理由があります。

有給休暇の一斉付与は「企業にとってメリットが大きい」から

入社日が異なれば有給休暇の支給日が変わるのは当然ですが、従業員数が多い会社にとってそれを把握し処理するには膨大な時間と人件費がかかります。そこで日にちを決めて一斉に付与することで、作業を楽にしようという狙いがあります。

しかしここで1つの疑問が出てきます。1月1日に一斉に付与して次の付与が来年の1月1日の場合、1月2日に入社した方の扱いはどのようになるのでしょうか。来年の1月1日までに付与しない、というのではあれば労働基準法に違反します。

基準日以外に有給休暇を特別に与える

毎年入社日が一律で決まっている場合は、基準日で問題は無いでしょう。しかしそれ以外の中途採用時は扱いが厄介です。それを考えるに当たり、労働局の説明を確認してみましょう。

一斉付与については労働局側でも条件を満たせば問題が無いと記載されています。これを「斉一的取扱い」といい、全労働者に基準日を定めて年次有給休暇を与えるには2つの条件を満たす必要があるとのこと。

1.年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定において、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
2.次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間を法定の基準日より繰り上げること(例:斉一的取扱いとして、4月1日に入社した者は入社時に10日、1年後である翌年の4月1日に11日付与する場合。)。

出典:山口労働局

8割以上の出勤の他に、基準日以外の入社した者には入社時に与えることで要件を満たすとあります。しかし企業でこれが行われることはほとんどありません。一部では入社時に有給休暇を10日支給と稀に書いてある企業がありますが、ほとんどの企業は導入しません、これには理由があります。

有給休暇支給日を早めてしまうと、会社にとって不利になる

有給休暇は「最初に付与したタイミング」で次回のカウントがスタートします。つまり入社1日目に10日付与した場合、1年6ヵ月後に11日付与されるのではなく、入社した1年後には11日付与しなければならないのです。つまり企業にとって労働者に多く休まれる危険があり、不利であるといえます。

ですので通常1月1日一斉付与で、1月2日に入社した場合は6ヵ月後に支給されると考えてほぼ間違いないでしょう。

有給休暇の一斉支給は「従業員にとってもメリットが大きい」理由

一斉支給は企業によってメリットがありますが、従業員にとってもメリットがあります。それは中途採用の場合、早くに有給休暇をもらえるというメリットです。

一斉支給日:4月1日
中途入社日:5月1日

上記の場合は、半年後の11月1日に「10日分」の有給休暇が付与されます。そして1年を待たずして5ヵ月後の4月1日の一斉支給日に「11日分」が支給されます。つまり会社にとって管理面でのメリットは出るが、支給面でデメリットになるということが出てきます。

一斉支給の場合、入社日によって有給休暇の取得日数に若干の差が出ることがあります。例えば入社した日に10日もらった場合、半年後に一斉支給があれば入社半年で「21日」の有給休暇がもらえるなんてこともあります。

羨ましいと思う事もありますが、常識的に考えて入社したばかりの人が、一気に有給休暇を使うのは周りの目もあり難しいでしょう。そこは会社の規則だと自分で納得することが大事です。