永久保証なんてこの世には存在しない、10年・20年でも怪しい理由とは

商品やサービスを提供してもらったときに、何か不具合がある時は「対処します!」という意味で「保証期間」が設けられている事があります。しかし大抵は「1年」や「2年」であったり、中には「初期不良のみ」といったお店まであります。サービスによっては「永久」「永遠」「永年」といった名前を付けたものがありますが、これは普通に考えて不可能です。


保証が付く商品やサービスとは何か?

最初に思いつくのが家電製品です。テレビ・冷蔵庫・洗濯機にパソコンやスマートフォンや携帯電話といったものです。保証してくれるところは各家電メーカー(パナソニック・東芝・ソニー・三菱)であったり、ヨドバシカメラ・ヤマダ電機・ケーズデンキ・上新電機といった販売店の場合もあります。

他に身近なものと言えば設置・工事型です。シャワートイレ・ユニットバス・ウォシュレット・キッチン・玄関ドア・洗面化粧台・シャッターなどリフォーム関係です。これはLIXILやTOTO・パナソニックといった住宅設備販売会社や地元の工事を担当する「工務店」や「施工店」での保証もあります。オール電化や太陽光発電・ガス給湯器といった製品も長い保証で有名です。

後は脱毛・エステ・ダイエットといった美容健康サロンなどで保証があります。美容院での髪型の1週間保証なども、切ってもらった髪型が気に入らなければ直してくれるものです。

このように保証してくれるサービスは山のようにありますが、そもそも大企業の大手でない限りは会社が存続しているかどうか怪しいものです。

その会社20年後も営業しているの?

企業の「生存率」という数値があります。これは起業した後にどれくらいの企業が残っているのか、と数値化したものであり中小企業庁の「中小企業白書2011」にまとめられています。

これによると1980年~2009年の統計によれば、5年で約2割、10年で約3割、20年で約5割の企業が退出しています。しかもこの数値は起業してから登録されるまでの間に少し時間がある事から、登録までに退出している企業は含まれていません。ですので「少し高めに設定されている」可能性があるとのことで、確認が取れた最低の目安です。本来はもう少し低くなるでしょう。

ネット上では10年で90%以上が倒産したり、20年で98%が倒産していると書いているところもありますが情報提供元が書かれておらず、疑わしいデータが多くなっています。

保証が2重にかけられている場合がある

家電製品でよくあるのが「エアコン」で、メーカーが2年間保証をつけていたとします。販売店側で3年保証+1万円別途支払って更に3年保証の「6年保証」されるケースがあります。

販売店:6年保証
メーカー:2年保証

この場合は、販売店が倒産すると6年保証は消え1万円の追加も消えてしまいます。残ったメーカーの2年保証で対応してもらうしか方法が無くなるのです。逆にメーカーが倒産した場合は、販売店側が意地でも6年保証しなくてはならなくなります。

倒産後に保証が引き継がれる場合がある

保証してもらっていた会社が倒産した場合、事業に強みがあるならば「営業譲渡」となる可能性があります。他の企業に身売りされたり買収されたりすると、その会社で保証が引き継がれる場合があるのです。

しかしこれも引き継ぎ先企業の考え次第で、一旦倒産したので保証は新しく引きついでからスタートと言われるかもしれません。あまり当てにはならないでしょう。

団体が保証してくれるサービスもある

新築住宅を建てる時に、事業者が倒産してしまった場合、完成せずに中途半端なまま放置されることがあります。その時に「住宅完成保証制度」というものがあります。

業者倒産などにより工事が中断した場合に、発注者(お客さま)の負担を最小限に抑えるため、当社が工事の中断や引継ぎに伴い発生する増嵩工事費用や前払い金の損失の一定の限度額の範囲内で保証金をお支払いするものです。
また、発注者の希望により代替履行業者(工事を引き継ぐ業者)をあっせんします。

出典:住宅保証機構

もちろん事業者の登録有無や条件などがあります。このように大きな業界団体に加盟していたりすると、全額とまではいかなくてもある程度保証してくれることもあります。

泣き寝入りや裁判に持ち込むこともある

よく問題になるのが「エステ業界」です。お金を何十万・高ければ何百万と支払って施術を受けていたが倒産してしまい、どうしようもなくなったというものです。

支払っている最中の場合に倒産が発覚すれば、クレジットカードの場合は「抗弁権」が行使できます。これは販売会社が倒産して、商品引渡しができなくなった際に引き落としをストップしてくれるものです。他には債権者名簿に名を連ねたりとありますが、泣き寝入りする場合が多いのが現実です。

会社が本当に信頼できるかどうかを確認して購入・契約すること

小さい会社や団体に所属していない場合は、倒産すれば返金や保証は「まず不可能」ということになります。お店独自に設定されていて、その謳い文句で購入や契約をしたはいいが倒産してしまっては元も子もありません。

10年保証」を謳ってはいるが、その会社の社歴を調べてみると「社歴3年」となれば保証自体が疑わしいと思ったほうが良いでしょう。その会社がどれくらいの規模か、倒産した場合の保証はどこか引き受け手があるのか、高価なものほど慎重に購入や契約を行うべきです。