中小零細企業に留まらず、大手の大企業でもサービス残業は問題になっています。サービズ残業は法律で禁止されており、経営者層や上司が当たり前に考えているのがそもそも間違っています。サービス残業を我慢してしまうと、他の手当て減額や休日出勤に自腹清算など納得いかない事でも受け入れる空気になる恐れがあり危険です。
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年間のサービス残業は平均で「195.8時間」で、月平均約16時間
1年間のサービス残業、つまり賃金を伴わない労働の平均が「195.8時間」という調査結果が出ています。
2016年の一人当たり平均サービス残業時間(未申告労働時間)は年間
195.8時間と推計される。趨勢的にはこのところ減少傾向にあったが、2016年は微増に転じている。
仕事をしていれば残業の手当てがもらえるのは当然ですが、企業にとっては出費となります。もちろん残業代を稼ぐ為に仕事中にゲームをしたり遊んでいるならば話は別ですが、そうでなければ企業側に非があります。
特にサービス残業が日常化している業種とは
仕事によって定時で帰っても問題ないようなところもあれば、仕事が多すぎて給料もたくさんもらっているなど、企業によって様々です。しかし業種によって多い少ないは存在するもので、特に多いのはどの業種でしょうか。先ほどのマクロ経済分析レポートを見るとワースト1位2位とトップ1位2位はこのようになっています。
ワースト1位:教育/学習支援
年間のサービス残業時間は「390時間」1ヶ月換算で「32.5時間」は残業代無しとなっています。教育や学習と聞くと思い当たるのは「幼稚園」「小学校」「中学校」「高校(高等学校)」「大学」を始めとした教員や学習塾でしょう(保育士は別カテゴリ)、特に部活の顧問や家に持ち帰っての答案の採点や、今後の授業の進め方や計画を自宅で行っている為でしょう。ちなみに市区町村が建設した学校の教師は「市の職員」で、それ以外は「地方公務員」という扱いです。
子供を育てる教育現場の先生が疲弊しストレスを抱えていれば、子供にとって良い影響は無く悪影響しかありません。PTAやモンスターペアレントといった問題もあり、少子高齢化で子供を大事に育てる日本の今後を考えれば、教育者の環境改善に取り組む必要があります。
ワースト2位:宿泊/飲食サービス業
年間のサービス残業時間は「309.6時間」1ヶ月換算で「25.8時間」は残業代無しとなっています。宿泊は「ホテル」や「民宿・民泊」が当てはまりそうで、近年は中国やアジア圏からの旅行者も多く、観光名所ではお客の入りは伸びています。しかしそれに伴って給与が増えていないのは、競争が激しく設備投資にお金がかかり、従業員の職場環境改善に手が回らないのでしょう。
飲食サービス業は「ファーストフード」や「居酒屋」をはじめ、「スーパー」や「コンビニ」といった客商売を指しています。牛丼屋で話題になったワンオペも人件費を削ろうとしていたからであり、離職率の高いこの業種では人材の確保が厳しいにもかかわらず、その働く人材に対してサービス残業を強いるという悪循環となっています。人手が足りない、求人を出しても応募が来ないといった理由も、この辺りに問題があるのです。
逆にサービス残業が少ない業種はどこか
1位:不動産・賃貸業
最もサービス残業が少ない業界は「不動産・賃貸業」です。新築・中古物件の販売や、アパート・マンションの賃貸が当てはまります。年間のサービス残業時間は約50時間前後ですが、残業代でお金を稼ぐというよりかは「成果報酬」で稼ぐ事が大半です。
つまりサービス残業があろうが、営業としての販売の実力があればいくらでも稼げますし実力を上げて実勢を積み重ねれば若くても給与面で他を圧倒することが可能なのです。
それだけに件数を取らなければ「タダ飯食らい」と影で囁かれ離職率が高いというのもあります。実力があり件数も取っていれば、会社に多大な利益を与えているため、むしろ喜んで残業手当を付けてくれているのかもしれません。
2位:製造業
製造業は時間が来ればラインは止まったり、時間でシフト交代があります。サービス残業を個人に付けるという事は他の仕事に比べて少なく、サービス残業として処理するとライン勤務全員にサービス残業が付くため大勢を敵に回す可能性があります。その為「サービス残業」は少ないのではないでしょうか。ただし管理職や事務といったその他は、上記に該当しない可能性があります。
日本のサービス残業は根深い
ツイッターやフェイスブックに質問サイトを見ていると、サービス残業についてたくさんの声が聞かれています。
・プレイミアムフライデー何か関係ない、今日もサビ残。
・2時間サビ残したので今から帰ります。
・サビ残して電車が遅延中、しかも満員という最悪。
・みんな合コンいっているのに私だけサビ残、なにこれ。
・周りの同僚がサビ残ばっかなので、定時で帰ると肩身が狭い。
・ノー残業デーでサビ残ってどういうこと・・・。
サービス残業があるという事は、通常の残業時間にカウントされていないことが分かります。残業というのは、「通常の残業時間+サービス残業」でり、定時に帰宅できる仕事が羨ましいと思う人も多いですが、給料もそれなりで少なければ納得できるのかもしれません。
労働基準局は動いてくれないのか?
サービス残業を拒否すると不当な扱いを受けたり、強制で断れないケースもあります。労基(労働基準局)にパワハラ・セクハラ・モラハラなどを始めとしたサービス残業を通報するという手もあります。法律違反しているのだから支払ってもらうのは当然ですが、企業側も万が一タレこまれた場合の対策方法を考えていたり、証拠を掴まれない様に記録に残していない事も多く、従業員側が労働基準局に客観的に確固たる証拠を証明できなければ中々動いてくれませんし、従業員が会社と交渉してダメだった場合に動くかどうかを判断するため、リスクが高いとも言えます。
国が動いてくれないとなれば自分で動かざるを得ませんが、チクったというレッテルを貼られてるのでどこかの会社のように「シュレッダー係」に配置転換させられたり、自ら辞めるよう圧力をかけてきたりと残って仕事をするのにも影響が出る場合があります。
辞める前提なら動けるかもしれませんが、所詮その程度の会社だという事です。訴訟や裁判にかける時間がもったいなく、それなら次の仕事先を探した方が良いと感じるかもしれません。