日本の休業・廃業件数が史上最悪を更新の異常事態に、景気が良くなっているのは気のせいか?

2017年以降は倒産する会社が減ったから景気は回復、本当にそうなのでしょうか?企業倒産件数が減っているという事は、景気が回復基調にあるから、それって本当なのでしょうか。上場企業の倒産も近年は無く、求人倍率も高く大学生の就職内定率も上がっている、日本は不景気から好景気に進んでいる、これだけで判断するのはまだ早計です。実は休廃業・解散件数が史上最悪を更新するなど、異常事態が出てきています。


倒産件数が低水準で8年連続減少に

日本の倒産件数が、前年を大きく下回りました。倒産する会社が少ないという事は、景気が良くなったと思われがちですがどうなのでしょうか。

東京商工リサーチが13日発表した2016年の全国の企業倒産件数(負債額1千万円以上)は8446件で、前年より4・1%減った。減少は8年連続で、1990年(6468件)以来の低水準。負債総額は2兆61億円となり、前年を5・0%下回った。

出典:昨年の倒産件数、90年以来の低水準 8年連続減

上場企業が倒産した件数は2016年は0(民事再生法や法的整理)と、リーマンショックから回復基調だと報じられている事が多くあります。2015年の倒産はは「スカイマーク」「江守グループホールディングス」「第一中央汽船」の3社でした。

1年で8,446件倒産しているのか、少ないなとはとても思えません。それでも1日23個の会社が倒産で無くなっているのです。シャッターが閉まっている商店街はどんどん増えていますし、景気が良いのは東京だけではとも囁かれています。

倒産は事業の継続が難しくなった結果ですが、休業や廃業となると自主的に閉めることと意味は異なります。実はこちらはかなり深刻な状況です。

休業・廃業件数が過去最多

倒産件数が減っていても、特に中小企業が休業または廃業しているケースが増えています。その数は倒産件数ははるかに上回り、統計史上過去最悪を更新しました。

2016年に休業、廃業したり解散したりした会社の数が2万9500件を超え、過去最多を更新する見通しとなった。3年ぶりに増加に転じる。後継者難や人手不足など先行きへの不安から、経営が行き詰まる前に自主廃業を選ぶケースが増えている。09年以来、8年連続減っている「倒産件数」の統計には表れない中小企業経営の苦境が浮かび上がる。

出典: 倒産減っても休廃業・解散が最多 中小苦境 16年2万9500件超へ 日本経済新聞

1年で29,500件ということは、1日約81件の会社が無くなっているという事です。これが倒産件数が減少して景気が上向かない原因でもあります。完全に資金が底を尽きて再起不能になる前に廃業をしたり、後を任せられるものがいなかったりと特に地方では深刻です。

日本では人口が減少しているので、比例して会社が少なくなってくるのは当然です。倒産件数も普通に考えれば徐々に数は減ってくるでしょう。しかし休業・廃業件数が思いっきり増えているのは問題です。

有効求人倍率が高いのは幻か

有効求人倍率とは、1人当たりの仕事がいくつあるかという事ですが、これがドンドン増えていっているというのです。仕事が世間では溢れかえっている、景気が良くなっているという事なのでしょうか。

労働力不足は、特にサービス産業において顕著であり、有効求人倍率も平均の1.43に対し、介護などの公共セクター等では地域によっては5以上(介護の全国平均は2.8以上)もざらとなっている。その一方で、事務は一般事務では0.25倍程度などムラが激しい。

出典:BLOGOS

介護事業の求人が爆発的に増えており、昔からある事務職などは低いままです。しかもこの有効求人倍率は「非正規」も含まれています。

地方の求人情報誌を見てみると30個求人が載っていました。大まかに分けるとこのような構成です、これはコピペしたものではありません。同じような仕事が多いと思いませんか。

「飲食」「事務」「プログラマー(有名なブラック企業)」「介護」「運転手」「看護師」「ガソリンスタンド」「看護師」「看護師」「保育士」「介護」「飲食」「歯科衛生」「介護」「飲食」「工場」「介護」「看護師」「土木」「介護」「飲食」「看護師」「看護師」「看護師」「飲食」「倉庫」「飲食」「運転手」「飲食」「介護」

介護と看護師で半数を占めています。つまり地方ではこのような現象が多いのです。求人が多くて倍率も上がった、といっても増えているのはこのような仕事。しかも休みは日・祝だけ(土曜出勤)も多く、待遇は良いとはいえません。飲食も多く、人手の確保が困難になっているようです。

一部の景気は改善している

確かに高級車の売れ行きが良かったり、公務員の給与が上がったり、一部の大企業の経営が上手くいったりと悲観的なことばかりではありません。円安や株高・ボーナスも経済を下支えしている1つであり、年末年始商戦は荷物が多すぎてヤマト運輸や佐川急便が捌ききれないほど忙しいとも聞きます。

しかし日本が安定しても海外の情勢や・金融市場の影響を多々受けますので、今後も回復に進むのか、悪い方に進むのかは慎重に動向を見守る必要があります。