自分の周りで大企業に勤めている人が多いと、虚しい気持ちになることがあります。ボーナスも良くて福利厚生もしっかりしていて、将来の不安が無い・・・、確かに中小企業や零細企業の方が見ると羨ましいことが多いです。しかし大企業に勤めている人は、実はかなり少数派です。
そもそも大企業の定義とは?
大企業と一口に言っても、どういう意味を表しているのでしょうか。大きい企業というのは分かりますが、売上が多い?従業員が多い?どこを指しているのでしょうか。
実は法律上「大企業」という言葉は存在しません。しかし「中小企業基本法」第二条で中小企業は存在します。
第二条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
ということは、ここに言われている規模以上の企業が大企業という事になります。資本金か出資額が3億円を超える、従業員が300人を超えるなどです。
しかしここで誤解が生じます。ほとんどサイトで説明されているこの内容で、ほとんどの方がこの規模だけで考えがちですが、これは「製造業その他」に分類されている規模です。
実は卸売業・サービス業・小売業で言う中小企業は上記の通りとなっています。ということは、小売業で資本金5,001万円以上、従業員51人以上は大企業という事になるのです。
例えでいうと不動産の売買や仲介(サービス業)を行っていて、資本金が5,001万円、従業員が101人の会社は大企業という事になります。
大企業に勤めている人の割合
大企業に勤めている人は全体の「0.3%」でしかありません。中小企業・零細企業(中規模企業・小規模事業者と呼ばれる)に勤めている人は全体の「99.7%」となります。
ということは100人いればほとんどが中小企業に勤めているという事であり、大企業に勤めている人は極僅かの少数ということになります。何も中小企業で勤めていることは恥ずかしくも無く、周りにいる人ほとんどが中小企業に勤めています。
大企業のメリットとデメリット
大企業の1番のメリットは「給与が高い」ということです。世間の平均給与はあまり当てにならないほど高く、特に大企業+上場企業では好条件の企業が目立ちます。更に名前を言うと知っている方が多く、知名度も抜群で一目置かれます。
福利厚生がしっかりしており、住宅手当から子供手当て、退職金や保養所や確定拠出年金、食費補助や資格手当てなど様々な手当てがあり、待遇はとにかく厚いのが自慢です。
スキルアップできる仕組みが社内にあり、大きいプロジェクトに携わることが出来ます。
ではデメリットは何でしょうか。
業績が悪くなると大規模なリストラがある、酷いときには営業所や工場単位の閉鎖があります。その場合面倒見てくれたとしても、日本全国どこに飛ばされるか分かりません。
転勤が多い、大阪で仕事をしていて新潟へ、東京で仕事をしていて高知県へという転勤もザラにあります。補助は出ますが、断ることはほぼ不可能です。
競争が激しい、優秀な人がたくさんいるため競争で抜きつ抜かれつをしていく必要があります。他人よりも優秀な成績を収めなければ出世は厳しく、窓際族になります。
会社の歯車としての仕事が多く、中枢に関われることが無いということ。
中小企業のメリットとデメリット
では中小企業・零細企業や個人事業主等のメリット・デメリットは何でしょうか。
最大のメリットは、会社の経営に関われる仕事が出来るという事。人数が少なくてやらなくてはいけないですが、歯車ではなく売上や経営が会社の未来を直接左右することがあります。
若いうちから責任のあるポジションを任される場合が多く、基本的に転勤がない為腰を据えて仕事をすることが出来ます。戸建てやマンションを購入するにも転勤が無いのはメリット。
ではデメリットは何でしょうか。1番は給与が少なくて福利厚生が充実していないという事です。昇進やボーナス賞与が少なく、手当ても家賃補助や子供手当てが無いところが多くあります。
知名度が無く会社名を言っても、何の会社か分からないことも多いのが特徴です。マニュアルや研修制度が不十分な場合があり、先輩を見て育つ必要があります。
大企業に勤めていると言っても、本社で正社員は少ない
大企業に勤めていると言っても実際の「正社員」はあまり多くありません。契約社員や派遣社員、パートやアルバイトで構成されている場合も多く、常時雇用は多くないのが現状です。例えばトヨタやホンダの自動車会社では、愛知の工場で「契約社員」募集が多々あります。
日本では大企業でも非正規社員が多く、大企業でも子会社や関連会社では待遇や仕事の扱いも大きく異なります。大企業に属していても、出向や部署移動等もあれば海外赴任という場合もあります。治安の良い国ならまだしも、治安が微妙な国でトラブルに遭うケースも少なくありませんが、挑戦はできます。
確かに給与や福利厚生で選ぶのも大事ですが、過労や病気になっても意味がありません。ブラック企業という言葉もある通り、働き甲斐のある仕事について給与が付いてくれば大企業・中小企業という考えも薄らいでくるのかもしれません。