日本では子供は宝というように大事にされ、子育てにはお金も時間もかかります。仕事をしながらでは子育ても中々難しく、休みを取る必要が出てきます。子供が生まれたから休みを取ろうと思っても、会社や他の従業員に迷惑がかかるという理由で休めない状況もあるようです。しかし法律に沿って考えれば休めないということはありません、きちんとした手順と周りへの配慮を考えて行動する必要があります。
育児休業と育児休暇は全く違う
よく混同されがちなこの2つのお休みですが、中身は全く異なります。きちんと把握しておかないと恥をかくばかりか、損をする事に繋がるのできちんと把握しておきましょう。
育児休業とは
育児休業とは、法律によって定まりがある休暇の制度です。子供を養う為に、一定の決まった期間を休業することができ、基本的には子供が1歳になるまでという期間があり、自ら申し出た労働者に限り取得できます。
男女による区別が無く、男性でも女性でも関係なく休みを取る事が出来ることになっています。回数は1人の子につき1回ですが、特例で1歳6ヶ月まで伸ばすことも出来ます。
保育所に入りたいけど入れない場合や、子供を育てている配偶者が1歳以降育てることが困難になった場合、6ヶ月プラスして育児休業が取れます。
育児休暇とは
育児休暇とは育児をする為にお休みを取ることです。法律によって決められているわけではないので、ただの「休む」という行為に該当します。
半年や1年間継続して働くともらえる「有給休暇」がありますが、有給休暇を育児休暇として休む方が増えているようです。有給休暇の内容は会社が関与できないので、子供を育てる為に有給休暇を取得して仕事を休むという形を取ります。
ということは、法律で守られている「育児休業」を取得するほうが何かと便利な条件が揃っています。では便利な条件とは具体的にどのようなものになるのでしょうか。
育児休業を取得するとどんなメリットがあるか
まずは税金や日頃必ず必要になる「保険料」が免除されます。具体的には「健康保険料」「厚生年金保険料」の支払いが免除されます。そして「育児休業給付」というものがあり、会社の給料がもらえない代わりに非課税の収入がいただけます。
参考:厚生労働省 ご存知ですか?育児休業中・介護休業中の経済支援
「育児休業給付」がもらえる条件としては、一般被保険者で育児休業開始するまでの2年間に1ヶ月当たり11日以上お給料をもらった月が12ヶ月以上あることです。
休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月(過去に基本手当の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。)が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。
他にも育児休業中に働く場合は1ヶ月毎に10日以下で、10日を超える場合は月に80時間以下であることが条件に入ってきます。
支払われる金額は半年まで67%が支給され、そこからは50%が支給されます。会社から賃金をいただかなくても、この支給と税金免除などを受けれるのが最大のメリットです。
育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(※)(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。
雇用形態が正社員でなくても、パートやアルバイトでもきちんと申請することができます。ただし同じ事業者に1年以上雇用されていることが前提です。
なぜ育児休業が取りにくいのか?
一般的に取りにくいといわれている育児休業だが、下記のグラフを見て分かるように最近は改善されている。
出産した女性の内80%台中盤の取得率で安定しています。男性の取得率も1%を切っていた位から2%を超えてきました。
パートやアルバイトなどで比較的人数が多い職場や、大企業の系列では代わりに働いてくれる方が多いためすんなり取得できる場合が多いです。逆に中小企業や零細企業、地方の会社の場合は、東京や大阪に人材が集中しているため、人材を確保するのも大変になっています。そうすると代わりの人が確保できない為、育児休業を取得したり子育ての為に休むとあまり印象が良くありません。
逆にいうとあなたにしか出来ない仕事を任せている、あなたの代わりはいないというのは仕事をする人にとっては頼りにしてくれるのでありがたいのですが・・・。
法律上は育児休業のせいで解雇されることなどは無いので、安心して申請できます。しかし引継ぎや後輩や託す人への育成など、きちんと筋を通しておく必要があります。そうすることで申請しやすく、働きやすい職場へと変化していきます。
今取得すればどうなるか、会社に極力迷惑をかけずに休むにはどうするか、そこは人間関係ですから予め計画を立てる必要があります。大企業のような取得しやすい事業所ならそんなことはあまり考える必要はありませんが、小さい会社では逆の立場に立って配慮をしてあげることが大事です。
他の方法としては小さい企業には属さず、将来子供を生んだり育てる予定がある人は、育児休業を取得した実績のある会社(ハローワークの求人票で確認できる)や、ある程度人数が多い規模の会社を選んで働くことです。小さい会社では出産に対する配慮も人的余裕もほとんどなく、会社側からすると育児休業されると会社側にはデメリットしかないのです。
子供の数はどんどん減っている
子供の数は34年連続で減少し、過去最低の数となりました。割合も41年連続で低下し、少子高齢化で高齢者の国となりつつあります。
子供が少なくなってきた原因は様々です、非正規問題や東京や大阪への人口の集中でずっと働いていたい若者が増えている事もあります。東京では保育所などが不足しているそうですが、人口超密集地での子育てはしにくく、ゆっくり子育てしたい場合は地方に移住するなど考え方も変えないといけません。
育児休業は法律で決められており、誰からも文句を言われる筋合いはありません。しかし休業する人と残っている人の双方にとって、少しでも良い方に向かうという配慮をお互いが忘れてはいけません。子供を育てやすい社会作りは、国全体での今後の課題です。