下流老人にならない為には、20歳から毎月62,500円以上貯金すること

仕事を定年退職して、さあ老後を楽しもうというときに必要になってくるのがお金です。医療費や介護など必要なサービスを受けるにはお金が必要です。しかし老後は貯金と僅かの年金を頼りにしながら生活をしていかなければなりません。普通の老後を迎えるには、一体いくらくらい貯金をすればよいのでしょうか。


下流老人とは?

最近よく耳にする「下流老人」という単語ですが、一体どういう事を指しているのでしょうか。2015年の流行語大賞にもノミネートされたこの言葉ですが、NPO法人の代表理事の方が作った造語と言われています。

具体的には高齢者を指す言葉ですが、その高齢者の中でも「収入が少ない」「貯金が少ない」「孤立している」ことの3つに該当している方が下流老人と言われています。

収入が少ないのは仕事を辞めて「年金生活」になったのだから当然です、全ての老人に当てはまりますが額に差が出ています。それは、厚生年金に入っていたか、国民年金のみなのかによります。

通常は厚生年金のほうが受給額が高く、国民年金は受給額が少ないのが当然です。なぜなら国民年金は元々自営業などをされていて、将来の定年退職という概念がない方の為に作られたからです。しかし中小零細企業や派遣・アルバイト・契約社員など非正規雇用問題などで国民年金に入らざるを得ない国民が急増しています。

当然収入が少ないという事は、貯金(貯蓄)出来る額も少なくなるというのは目に見えています。この2つは連動しているのですが、最後の孤立しているかは日頃の生活や環境によります。

有料老人ホームや施設に入った場合は、管理者などの介護士や他の老人の方と交流することもあるでしょう。しかし実際は年金が少なく、貯金が少ないため老人ホームに入れないという事が出てきます。そして自宅で暮らし、伴侶がいなくなると孤独になるというケースに陥りやすいのです、つまりこれらは全て繋がっているということです。

将来の1ヶ月当たり必要なお金

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これは環境によって必要な額がかなり差が出てきます。一説によれば3,000万円、一説によれば6,000万円など、はたまた1億円必要なんていう記事も見かけます。

60歳もしくは65歳から計算すると、約30年間お金が必要な事になります。1ヶ月の老後の収入例が厚生労働省に掲載されています。

夫婦二人の基礎年金と夫に支給される報酬比例年金
月額238,125円 【67,017円+67,017円(基礎年金)+104,092円(厚年・報酬比例)
成熟時における標準的な加入年数 40年 標準報酬月額の平均 367,000円

出典:資料V-1-1 モデル年金月額の推移 厚生労働省

これによると1ヶ月36万円の収入を得ていて、老後には年金が約24万円もらえるというデータになっています。しかしこれは総収入であり、実際は保険やら税金やらでいろいろ引かれ更に現在の年金は昔より少なくなっています。

世帯主が60歳以上で無職である世帯(世帯員が2人以上)の家計をみると、実収入から非消費支出(税・社会保険料等)を差し引いた可処分所得約17.6万円に対して、消費支出は約24.7万円で、1ヵ月間に約7.1万円が不足しています。また、60歳以上の単身無職世帯の家計をみると、可処分所得約10.2万円に対して、消費支出は約14.3万円で、約4.2万円が不足しています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター

手取りが約17万少しになるのに対して、支出が25万近く必要になってきます。1ヶ月当たり7~8万円不足している分を、貯金から取り崩していくのです。もちろん旅行や孫への投資などをせず、贅沢や趣味にお金を使わなければ更に少ない費用で生活することも可能です。

老後の貯金はいくら必要なのか?

30年間の生活の中で1ヶ月当たり7万円から8万円不足するという事は、1年で84万円から96万円不足する計算です。間を取って90万円と仮定すると、30年ですから2,700万円必要だという計算になります。

ですので老後の貯金は3,000万円が最低ラインだという根拠が、この計算なのです。万一の怪我や病気、突発的な費用も必要になってきます。自宅で過ごす場合はリフォーム費用やマンションやアパートの賃貸の場合は、1ヶ月の家賃も換算する必要があります。それを考慮しても持ち家が有利なのはいうまでもありません。

貯金の目安

では3,000万円を貯金するには、今からいくら貯金すればよいのでしょうか。今20歳の場合は、残り40年で計算すると年間は75万円必要で1ヶ月当たり6万2500円貯金をすることが必要です。

30歳の場合は、既に貯金が750万円あるため同じく6万2500円貯金する必要が出てきます。しかし30歳の平均貯蓄額を見てみると、驚くべき数字が分かります。

30歳の平均貯金額はあまりにも足りない

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では30歳の貯金額はどれくらいなのでしょうか、数字を見てみると驚くべき数字になっています。

転職サービスDODAが行った2012年の調査によると、30歳の平均貯金額は約330万円なのだそうです。ちなみに、30代全体を見てみると、約315万円。30代全体で平均をとると額が下がるのが気になるところですが、この二つは調査元が異なるので、30代の平均貯金額は300~330万円と考えるとよいかもしれません。

出典:リクナビNEXT JOURNAL

もちろんこれは単なる平均であり、何千万も貯金がある人もいれば0に近い人もいます。3人~4人に1人が貯金ゼロという統計も出ているくらいで、実際の数字はこれより少ないでしょう。

非正規雇用などで収入が伸びず、結婚やマイホームで貯金をかなり消費し貯金できていないというのが現状でしょう。30代で300万の貯金という事は、2,700万円を30年で貯める必要が出てきます。そうすると年間90万円、1ヶ月辺り7万5,000という計算になります。更に子供が出来た場合は家計が苦しく、共働きでないと維持することは困難を極めます。皆さんは20歳から毎月6万2,500円貯金できていますか。