子供の頃、お金を拾ったら交番に届けなさい、とは言われたものですが時代とともに人間の感情や世間は変化しています。道を歩いていて財布が落ちていたら、どうすればよいのでしょうか。
お金を拾うとはどういうことか
学校には「落し物コーナー」というものがあり、駅には「忘れ物市場」が存在します。歩いていたり、電車の中で忘れ物をするケースは誰にでもあり、運よく見つかるケースもあれば見つからないケースもあります。見つからないというのは、誰かにもっていかれたか、はたまた風で飛ばされたり川などに落ちてしまったり、鳥がくわえてもっていったりと、自然に無くなってしまうケースもあります。
では日本の法律ではどうなっているのでしょうか。「遺失物法」というものが存在し、その中でこのような一文があります。
第一節 拾得者の義務
第四条 拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
出典:電子政府の総合窓口
ここで注意したいのが、拾得したものは「失くした人に返す」か、「警察に届け出る」という事です。この場合、財布などに運転免許書や学生証があった場合は本人の特定が容易です。しかし、本人に接触するのは避けたほうがよい場合が多いです。
もしも拾った本人の前に、他の人にも拾われていたり抜き取られていても拾った方には分かりません。失くした本人は分かるので、どうしても疑いの矛先が拾った人に向きがちになります。
警察ではどう周知しているのか
警視庁の遺失物法改正に伴ったパンフレットには、こういう記載があります。「落とし物や忘れ物を拾われた方へ」という項目を見てみましょう。
駅や店舗などの施設で拾った場合には、その施設に届けてください。施設以外(路上等)で拾った場合には、最寄の警察署や交番・駐在所に届けてください。
出典:警視庁
つまり、警察関係に届けてくださいという案内になっています。遺失物法では、本人へとありますがトラブルが多いためでしょう。
落とし主が現れない場合はどうなるか
財布や大事なものを拾った際は、交番などに届けましょう。ネコババすると横領罪などの罪に問われる可能性が出てきます。
以前は6ヶ月でしたが、今は3ヶ月間持ち主が現れなければ届け出た人のものになります。しかし所有権が移るには条件があります。それは「個人情報が入っていないもの」に限られるという事です。携帯電話やパソコン、クレジットカードやキャッシュカードなど本人のデータが入っている場合は、所有権を取得することができません。これは個人情報保護の観点からこのようになっています。
また最近では、各都道府県で忘れ物の情報が公表されています。あのあたりで落としたのだが、もしかしたら・・・と思われた方は、都道府県の忘れ物情報で検索してみましょう。しかし期間が3ヶ月と短くなっているので、動ける場合は早めに行動したほうが良いでしょう。落とし物が多すぎて保管場所に困るのでしょう、それだけ日本は忘れ物大国なのです。
ちなみに傘や新聞など安価なものに限っては、2週間以内に持ち主が見つからなければ売却できる事になっています。
参考:警視庁 落とし物や忘れ物の取扱方法を定めた遺失物法が変わります!
大手電鉄会社が忘れ物市などを行うのは、それだけ通勤時に忘れ物が多いという事です。
当然だが届け出たほうが多い
世の中の落とし物に対して、遺失届けを出したにもかかわらず見つからないケースは多々あります。もちろん盗まれたり、本当に見つからなかったりする場合もあります。
千葉県警は、昨年1年間の遺失・拾得物の取り扱い状況を発表した。現金の遺失届が約13億9955万円(前年比7705万円減)だったのに対し、拾得届は約5億6358万円(同2512万円増)にとどまった。
千葉県だけでこの額です、全国で換算すると一体どれくらい行くのでしょうか。昔は財布に紐や鎖を付けるのが流行りました。もちろんオシャレというのもありますが、失くさないし落とさないという2重3重のメリットがあったのも影響しています。
失くした場合は日本人の良心にかけることが多いですが、失くした人の事を考えて、自分が失くした時の気持ちになって行動を心がけてみましょう。困ったときはお互い様の、助け合いの精神が日本人にはあるのではないでしょうか。