貸株のメリット・デメリットと、なぜ異常に高い金利の銘柄が存在するのか?

国内株式銘柄を買ったり売ったりし、資産を形成します。持ち続けても配当金や株主優待で、何らかの見返りが存在する銘柄もあります。もちろんそのようなものが全く無い銘柄もあります。そのような時に1つの資産運用として「貸株」が候補に上がってきます。


貸株って何だろう?

貸株とは簡単に言うと「株を貸して金利を得る」ということです。自分が成行や指値で取得した株式銘柄を「証券会社」を通じて市場に貸すということになります。

貸した株には「金利」が付き、例えば1株50,000円で単元株数1の銘柄があったとします。これを金利1%で貸し出せば、年間約500円の利子が得られるという事です。3%なら年間1,500円で、10%なら年間5,000円です。

しかしほとんどの銘柄は0.1%で高くても1%前後に設定されています。これは証券会社が設定しており、各証券会社により取り扱っている銘柄や金利額は異なります。

中には10%や20%と高い金利の銘柄もあります、100万円で20%だと単純計算で1年で20万円、1ヶ月16,666円利子がもらえるという計算になります。

はたして本当にお得なのでしょうか、メリットとデメリットを確認して実際にどのような銘柄が設定されているかみてみましょう。

貸株のメリット

自分の持っている株式を貸株として貸し出した場合、何が良いのでしょうか。1つずつ確認していきましょう。

金利がもらえる
貸している期間によって、証券会社から金利がもらえます。通常0.1%から1%位で、中には10%から20%近いものまであります。

配当金がもらえる場合がある
基本的には、名義を証券会社に貸す事になるので配当金はもらえません。ただし証券会社によっては、もらえることがあります。もらえる場合は、配当金相当額としてもらえる事がほとんどで、源泉徴収されている配当金の額と、同等の金額を受け取ることが出来ます。証券会社によって設定が異なる場合がありますので、よくある質問等で確認しましょう。

株主優待が受け取れる
こちらも配当金と同じで、名義を証券会社に貸す事になるので基本的にはもらえません。ただし証券会社によっては「株主優待自動取得サービス」など自動的に調整してくれるサービスをしているところが多いです。それを設定すれば、直前で貸株を解除し、取得時は自分の名義にし、決算日や指定された日が過ぎると、自動的に貸株扱いになるところが多いようです。

株の3種の神器がもらえる
株式銘柄によりますが、配当金・株主優待・金利の3種類で運用できるので資産運用として頼りがいがあります。

貸株のデメリット

良いことばかりではありません、注意すべきことや特徴があります。ややこしい部分や不利になる部分を見てみましょう。

税金の扱い
特定口座で運営していれば、税金が徴収されて便利ですが貸株では異なります。証券会社から得た利息は、「雑所得」となり年間20万円を超えた場合は確定申告をする必要があります。

配当金と株主優待の設定
証券会社によってはもらえなくなる可能性があります。設定する必要も出てきて、株主優待を優先するとした場合、株主優待と配当金をもらえる時期が異なれば手動で設定する必要も出てくる証券会社があります。特に保有している銘柄が多い場合は、とても手間になるのでオススメできません。

信用取引口座
信用取引口座を持っていた場合は、貸株を利用できない証券会社があります。解約すれば使えるのですが、そちらで資産運用している方は注意しなければいけません。

長期株主優待
3年以上連続して保有していたり、長期特典がある株主優待の場合は対象外になる恐れがあります。買ったり売ったりするタイミングによって扱いが異なるので、証券会社で確認しましょう。

証券会社破綻
証券会社が万が一破綻した場合は、保証されません。

貸株が高い銘柄

楽天証券を見てみましょう、2015年9月現在で高い金利は以下の銘柄です。

出典:貸株金利 楽天証券

【3692】 20.00% FFRI
【3914】 20.00% ジグソー
【3915】 20.00% テラスカイ
【4777】 20.00% ガーラ
【3742】 15.00% ITbook
【9418】 13.00% U-NEXT
【6048】 12.00% デザインワン・ジャパン
【6079】 10.00% エナリス
【7779】 10.00% CYBERDYNE
【9424】 10.00% 日本通信

楽天証券で10%を超えているのは、上記銘柄になります。注意しなければいけないのは、現在の金利であって金利は常時変更される可能性があるという事です。先月20%だったのが今月は1%になるなど、長期的に計画を立てるのには適しません。

楽天証券のほかにも、SBI証券やカブッドットコム証券などが、高い金利が付いたボーナス金利銘柄を扱っている数が多いです。見比べてみると分かりますが、同じような銘柄がチョイスされているのが分かります。

どうして貸株金利が高いの?

一言で言うと「需要がある」からです。株を信用取引で売るために、証券会社から株を借りたい人がいます。借りると借りている期間だけ金利が発生します。それが貸している方に入るというわけです。

高値で株を借りてから、株を売ります。そして下落してきたときに買い戻すのです。そうすることによって、不安定な相場や下落基調の場面でも利益を出すことが出来るのです。

まとめ

貸株金利が高いということは、空売りして儲けたい人が多い銘柄だということです。つまり、下がり基調だと判断する投資家が多く、そういう銘柄は下落する可能性のほうが高いことが分かります。

下落する可能性が高いのに、長期保有して金利をもらう・・・何だか違和感を感じます。元々割安で手に入れた株や、株主優待目当てだったりするならば貸株として貸すのもアリかもしれません。要するに現在の自分の収支と、これからの運用を考えて判断しなければいけないので、どちらが良いか悪いかは人によって異なります。貸株する際は、現在自分が置かれている状況を見て、判断するようにしてはいかがでしょうか。