株主優待は「換金する」「自分で使う」どちらが良いのか

株主優待を導入する企業は、2010年頃から毎年右上がりで増え続けているそうです。今までは銀行や投資顧問会社・年金基金に生命保険会社といったいわゆる「機関投資家」が多数を占めていましたが、現在は個人で株を保有する方が増えています。


なぜ株主優待が増えているのか

株主優待を全く設定してこなかった企業も、徐々に株主優待制度を新設したりと株主に対して様々な還元を始めています。株主優待とは主に個人投資家向けに食べ物や飲み物であったり、生活雑貨やクオカードといった金券を始め、個人に受け入れられやすい商品がほとんどです。

機関投資家はいわゆる買ったり売ったり運用し、利益を出すことが仕事です。相場によって大量に株が動くこともありますので、安定して保有するということはあまりありません。確かに年金基金といった長期でホールドするところもありますが、基本は利益を上げなければなりません。

株価が安定しなければ業績や資金調達の厄介になります。しかし個人投資家を株主優待で魅力的に見せることによって、景気に左右されずに長期間株式を保有してもらうことができるのです。ですので企業はこぞって株主優待を設定し始めています。

生活に密着している株主優待は需要がある


例えば「東京ディズニーランドの優待券」とか、プロ野球の「巨人戦の優待券」が存在したとします。しかし九州に住んでたり北海道にいると、東京へ行く用事がない限り自分で使うなんてことは中々難しいのではないでしょうか。

しかし全国規模の「イオン」といったスーパーや、「吉野家」に「すかいらーく」という店舗が多く飲食に絡むものであれば老若男女使いやすい(消費しやすい)という需要が生まれます。

特に自社サービスの場合は融通が利きますし、来店してもらう目的も含めた広告宣伝費ととらえれば大幅に割り引いても痛くありません。中には数千円といった投資額でも数万円の優待券が設定されていることもあります、まさに自社のサービスでしかありえないことでしょう。

株主優待は転売することが出来る?

株主優待券は期限が設定されています。届いてから半年や1年といった決められた期間内に使わなければ紙くずとなります。使わない株主優待を捨てるのはもったいので、他の方に譲ることは出来るのでしょうか。

結論を言うと出来ないものは多い、ということになります。特に金券に該当するようなものは利用制限に「株主本人の利用に限る」と記載されたものが多く転売することが出来ません。ヤフオクやメルカリといったオークションサイトでもほとんど見かけなくなりました。見かけるのはまだ削除されていない物などでしょう。(但しサイトによって制限の仕方が異なる)

人気のクオカードも制限がかかります。というのも現金化できる可能性のある商品はマネーロンダリングで悪用の危険があることから問題になるのです。

しかしコレクション目的となればそれは別です。例えばキャラクター商品や遊具目的の玩具や限定品では直接お金と同じような価値が無い商品の株主優待になります、これならば特に問題は無いでしょう。「ドラえもん」人形や「リカちゃん」人形を転売して違法というな話は聞きません。クオカードも全額使ってしまった場合(金額的な価値が0)なら話も変わってくるかもしれません、限定で印字されたレアものというのも存在するからです。

配当金でもらうより株主優待券だと「食費」と「税金」が助かる?


株主優待を大量に持っていると、食に関する優待券が大量に届くことがあります。「吉野家」「すき屋」「マクドナルド」「すかいらーく」は有名ですし、そういったお食事券は特にファミリーに歓迎されます。「焼肉」に「回転ずし」に「しゃぶしゃぶ」に自社サービスなので金額も大きく食費が浮くのです。

食費でなくても映画を見れたりゲームセンターで使えたりと、大人だけでなく子供にもありがたい株主優待は数多くあります。配当金でお金としてもらえるのもありがたいですが、配当金よりも株主優待が良いという最大のメリットはコレです。

株主優待は税金が一切かからない

これに尽きます。配当金ならば所得税・住民税を納めなければなりませんし、源泉徴収や確定申告といった手間も出てきます。しかし株主優待券として5,000円なら5,000円丸々受け取ることが出来ます。注意するとすれば中にはお釣りが出ないことがあるので、それ以上使わなければもったいない事態に陥るため優待券の注意事項をよく確認しましょう。

使わない株主優待が設定されている株は買わない

「吉野家」によく行くなら「吉野家の株」を、「イオン」によく行くなら「イオンの株」を買うというのは良くある事です。しかし前述したように東京が遠すぎて行くことがないのに、株主優待で東京にしか無い店やサービスが設定されていればそれは無駄になります。どこかでこっそりと転売も出来るかもしれませんが、トラブルに巻き込まれる可能性もあるので得策ではないでしょう。

そしてその株式を発行している企業を好きかどうか、これが大事です。好きでもなければ株を買って株価が下がるとショックですし、手放したくなります。プロの投資家のように損切りが適切に出来ればいいですが、中々難しいでしょう。

多少損してもその企業が好きで、サービスをよく利用して株主優待で楽しませてもらっている…株主優待が設定されている株を買う時は、長期保有すると決めたもの以外は手を出さないほうがいいのです。株主優待目的の銘柄で、高くなったら売って利益を確保する!(キャピタルゲイン)というような気持ちでいると、結局損をしてしまうことが多くなります。株主優待が廃止されたり変更になることも良くあるので、本当に応援している企業の株を余剰資金で持つことが個人投資家の投資方法としては良いのではないでしょうか。