中小零細企業で「本当の労働時間」を知るには「夜」に偵察をする事

規模の小さい会社でも新卒採用を行っているところもありますし、中途採用・転職で個人事業主に毛の生えたような数人の企業・中小零細企業で仕事をしようと検討する場合があります。しかしハローワークやチラシ・ネットの求人票では「残業時間」という項目はあっても、それが真実かどうかは入社してみないと分かりません。


求人票から分かるのは就業時間の目安

求人票ではある程度の情報を知る事が出来ますが、真実は分かりません。求人票でこのような記載があった場合、どう考えますか。

【就業時間】9:00~18:00まで
【給与】20万円(固定残業代40時間分4万円分含む)

この求人を見て18時の定時に上がれる会社なのでしょうか。給与のところには固定残業代という項目があり、これは時間外労働等の有無に関係なく月間40時間分の給料が入ってますよ、ということです。つまり本来の給与は16万円+残業手当4万円と頭に入れておきましょう。

1ヶ月当たり20日出勤するとして、40時間分の残業ということは1日当たり2時間の残業です。このことから基本的には20時前後まで仕事をする必要がある事が分かります。残業が無ければ「ラッキー、無労働でお金がもらえる!」という思い込みは通用しません、ありとあらゆる手段を使って仕事をさせます。もったいないお金の支払いは会社側は行わないのです。

ブラック企業公表は宝くじのようなもの

法律に違反している会社は日本には数多く存在します。厚生労働省が数百社の発表をしましたが、宝くじの1等に当たるようなものでほとんどの企業が該当していません。中小企業に特に多いのがサービス残業で、残業の許可をしていないから勝手に残業した分の手当ては支払わない、とまで言う職場もあります。

昔このような会社がありました。求人票からお金の無い会社、きつい会社だということがすぐに分かります。

【就業時間】9:00~18:00まで
【給与】20万円(固定残業代60時間分6万円分含む)
【会社紹介】デザイン会社、寝る時間を忘れて仕事をするマニアがたくさん。
【仕事内容】満足しない、とことんまで追求していく仕事をしたい方。

よほどデザインの仕事が好きなら分かりますが、固定残業代を見ると1日3時間は残業がありそうで、21時まで仕事は覚悟しなければなりません。しかも正社員ですが給料が実質14万円+6万円となっており、計算してみるといかにきついかがわかります。

1日8時間として22日働くとすると176時間、時給795円となりますし、確かこの会社土曜も2週に1回出勤で祝日も休みが無かったような・・・となれば、更に時給は下がります。おそらく地域別最低賃金、つまり都道府県内の最低時給で働くことになるでしょう。どうみてもアルバイト・パート・派遣の方が割が良いのです。極限までお金を使いたくない(払いたくない&儲かっていない)のが見て取れ、きつい会社だという事が求人票から伝わってきます。休憩中も仕事をするような会社なのかもしれません。

会社の明かりが見える位置に出向く

大企業では部署・課がたくさんある為、ピンポイントでは入る職場の終業時間は分からないでしょう。小規模・中小企業で事業所が外から見えるような営業所・事務所では夜に外から見てみましょう。私が昔勤めていたところでは、窓の外から会社の中が丸見えでした。

時間を変えて何回か行ってみて明かりが消える時間帯が分かれば、それが本当の終業時間です。ただしシフト制でいくつも就業時間が分かれている場合は不明です。

ここで1つ疑問がある方もいるでしょう。明かりを消す方が従業員(社員)かどうか分からない場合があります。従業員が最後までいるのか、社長が最後までいるのか。

仮に従業員が最後までいれば、その時間帯まで仕事をさせられる可能性がありますので判断できます。では従業員でなく社長が最後まで残っている場合はどうでしょうか。

従業員は普通に帰って社長が最後まで仕事をしているパターン。それだと外からはいつ従業員が帰ってるか、明かりだけでは判断が付きません。

社長が遅くまで仕事をしている会社

なぜ会社のトップが最後まで仕事をしているか、単に仕事が多く忙しいだけならいいですがそうでない場合があります。私の勤めていた会社と取引のある営業マンがぼやいていました。

従業員数60人程の会社で自社ビルを持っています。そこでは社長が帰るまで社員は帰宅することを許されていません、命令というわけではありませんがとても帰れる空気ではないのです。そして残業代は1円も出ません、サービス残業なのです。

社長の自宅は会社の近くにあり、徒歩で帰れる距離です。従業員は仕方が無いのでパソコンで仕事をしている振りをしてゲームをしたり、ネットで遊んだり携帯・スマホでゲームやLINE(ライン)をしています。もちろん普通に仕事をしているときもありますが、社長が3時間残業しているなら従業員も3時間以上残業しなければなりません。営業マン同士の顧客の取り合いもあり雰囲気も悪いですし、他の従業員の前での長時間の公開説教もあり、ワンマン経営者です。

大手の求人サイト・転職サイトでも求人票を出している会社で、勢いは落ちた・・・といっても一時期は某ジャンルでトップクラスの売上を上げていた会社です。

特に中小零細企業では、昔気質の経営者が多く「サービス残業を正義」と認識している方がたくさんいます。早く帰れとは口が裂けても言いませんし、自分勝手な方もいます。残業代は払わないのだから、会社に少しでも残ってくれればありがたい、といったものです。

売上が上がっているから求人票を出している?

業績が好調なので社員を募集しているのでしょうか、少し長めに求人を見ていれば分かりますがよく募集をかけている場合は「ブラック企業」の可能性があります。社員が定着しないため(職場環境が悪い)募集を頻繁にかけています。

では早く帰れるところが必ずしも「ホワイト企業」となるのかというと、そうではありません。残業に理由が必要で申請式、正式な理由無き申請は却下、あなたが勝手に残ったからサービス残業で支払わない、というところもあります。就業時間が何時から何時までと明確に決まって残業無しの場合は、ノルマが厳しいところもあり「基本的には残業はありません」という言葉にも疑いを持っておきましょう。

このことからあくまでも帰宅時間は「目安」とし、何時ごろ帰っているかを「固定残業代時間」と「電気が消える時間」を照らし合わせて、どのような企業なのかの判断材料として確認してはいかがでしょうか。