「S&P500」を超える「海外ETF」を出来るだけ低リスクで構築しよう

日本のETFもいいけれど取引されている出来高の量を見てみると、やはり海外の方が圧倒的に流動性が高くて、現在は安定して取引されています。早い話が日本の国内ETFに投資をすると10年や20年といった単位で考えると、今後も存在するのかどうか怪しいものも多いという事です。年間コストの運用管理費用(信託報酬)も海外の方が圧倒的に低価格で、費用対効果だけを見れば海外ETFに軍配が上がります。


海外ETFの買付はNISAで

海外ETFでのデメリットをあげるとすればそれは「買付時の手数料」です。日本の投資信託や国内ETFの場合は、手数料無料のノーロードが主流になっていますが日本から海外株や投資信託を購入するには手数料を証券会社に支払う必要が出てきます。

海外ETFは「楽天証券」より「SBI証券」の方が買いやすい理由

現在はSBI証券がNISAでの海外ETFの買付が無料となっており、楽天証券ではキャッシュバックとなっています。税金の面から言うと無料の方がありがたいのは言うまでもありません。キャッシュバックは所得扱いになりますので、確定申告の際に手間が増えます。

S&P500は安定の3銘柄

アメリカで上場している場所と言えば、ニューヨーク証券取引所の「NYSE Arca」「NYSE Amex」そして「NASDAQ」があります。そこの代表的な銘柄500個の時価総額などを計算して数値化したもの「S&P500」です。他にも「NYダウ」「NASDAQ」などの指数もあります。

これは日本で言うところの「日経平均」「TOPIX 」「JASDAQ平均」「東証REIT指数」のようなものです。

日本から購入できるS&P500の銘柄は主に以下の3種類です。

銘柄 ティッカー 信託報酬 純資産総額
SPDR S&P500 ETF SPY 0.0945% 約25.3兆円
バンガード・S&P 500 ETF VOO 0.05% 約6.2兆円
iシェアーズ・コア S&P 500 ETF IVV 0.04% 約11.4兆円

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ (SSgA)のSPDR(スパイダー)か、バンガード(anguard)か、ブラックロック(BLACKROCK)という大手どころの選択肢があります。基本的にはほとんど差がありませんが、信託報酬つまり年間コストはブラックロックが最もコストが安く、純資産総額は1993年から続いているスパイダーが約25.3兆円と豊富です。

バンガードは「2010年」からiシェアーズは「2000年」からファンドが動いています。これらはどれに投資をするか、SSgAの歴史の長さ、バンガードのコスト革命、ブラックロックの競争意識の高さなど、個人の好み次第です。私はコスト最優先で「iシェアーズ・コア S&P 500 ETF」を選びました。

S&P500を超えるためにはどの銘柄にすれば良いか

高いリターンを求めるには高いリスクはつきものですが、極力安全にチャレンジしたいものです。永遠に勝ち続ける会社というものはありませんが、安定し続けている分野というものは存在します。それは生活に密着した商品を扱っているということです。

「生活必需品」という分野がそれです。どれだけ不況に陥ってもどれだけ環境が変わっても、「食べ物」や「飲み物」は売れますし、「洗剤」や「生理用品」も必要ですし「ティッシュペーパー」や「トイレットペーパー」も無くては困ります。もっと大袈裟に言うと百貨店や大手家電量販店が潰れても、コカコーラやP&Gが潰れるという事は考えにくいということです。

ジェレミーシーゲルという教授が言っているように、持続的な高い配当を出している銘柄や生活に密着した昔からある会社への投資が、長い歴史を見る上(統計学的に)でS&P500を超える可能性が高いというのです。

生活必需品セクターの候補は2つ

では具体的にどの銘柄が良いのでしょうか。

銘柄 ティッカー 信託報酬 純資産総額
バンガード・米国生活必需品セクター VDC 0.10% 約3,640億円
生活必需品セレクト・セクター SPDR XLP 0.14% 約1兆円

上位銘柄はP&Gやフィリプモリス・コカコーラ・ウォールマート・コストコなどかなり似ていますので、好みの問題でしょう。私は純資産総額の少なさが少し気になりますが、年間コストの低いバンガードを選びました。少ないといっても約3,640億円ありますし、国内で人気のセゾン投信「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の3倍近いので、とりあえずは十分でしょう。

バンガードの2016年末時点でS&P500と生活必需品のリターンを比べてみます。

バンガード・S&P 500 ETF (VOO)
【3年】8.83%【5年】14.62%

iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)
【3年】8.81%【5年】14.59%【10年】6.89%

バンガード・米国生活必需品セクター(VDC)
【3年】9.27%【5年】13.15%【10年】10.22%

短期間で見ればもう少し差は出ますが、長期でのデータは設定が浅い為まだありません。しかし過去の個別銘柄のパフォーマンス等を見ることで、生活必需品がいかに優れているか分かる事が出来ます。そして迷う場合はどちらにも投資をするのという手もあります。

これ以上のパフォーマンスを求めるなら、例えば「宇宙開発産業」や「軍事産業」もありますが、ハイリスクハイリターンですので少しでもリスクを抑えたリターンを求めるなら、生活必需品が良いのではないでしょうか。