電気は電力会社へ変更せず、新電力への切り替えが圧倒的に多い理由

電力自由化に伴い、電力会社を変更し少しでも電気代を安くしようという方がどれくらい増えたのでしょうか。変更する事でどれくらい電気代が安くなるのか、安定性はどうなのか、テレビCMや駅のポスターにネットのバナー広告などで宣伝を見かけます。ガス会社や家電量販店や新規参入も話題になりましたが、電力会社の管轄での家庭用電力契約の取り合いも話題になりました。


電力会社を変更した世帯は僅か?

総務省統計局の国勢調査によると、平成27年度の日本の世帯数は「約5340万世帯」です。世帯数は増加しているにもかかわらず世帯人数が減っているという事は、1人世帯の数が増えていると考えられます。

参考:平成27年国勢調査 総務省統計局

電力の契約は基本的には世帯毎の契約となります。2世帯住宅の場合は、その世帯毎に電力会社の契約先が異なる所もあります。例えば親の世帯は東京電力で子供の世帯は○○ガスといった形です。


出典:フジサンケイビジネスアイ 自由化から1年 電力大手、越境販売が低調 家庭向け知名度不足

フジサンケイビジネスアイによると、他社管内で契約が取れた件数、分かりやすく言うと東京電力管内で中部電力に変更したなど、自社に変更してもらった実績は上記のようになっています。

約15万4千件となりますが、中部電力の実績が突出しているのが分かります。まもなく目標値の10万を達成できる勢いです。都市部から離れるにつれて実績値は伸びていません、田舎や地方では新電力会社も少なく変更するメリットが感じられず、今までの安定している電力会社で良いと考えている方が多いのでしょう。

新電力への切り替えは好調

電力会社での顧客の取り合い以外にも、ガス会社、大手家電量販店、大手企業の参入も相次いでいます。5340万の内の15万件なら僅か0.28%と少ないですが、電力会社以外への契約変更は順調のようです。日本経済新聞のまとめではここ2ヶ月は以下のデータが掲載されています。

経済産業省の認可法人である電力広域的運営推進機関は10日、家庭向けの電気の小売りが自由化した昨年4月から今年1月までに282万100件の契約が電力大手から新電力などに移ったと発表した。

出典:電気契約切り替え282万件 小売り自由化10カ月で

昨年4月に始まった家庭向け電気の小売り自由化に伴い、今年2月までに大手から新電力などへの切り替えが311万200件に達したと発表した。

出典:家庭の電力契約切り替え、311万件突破 全体の5%

この数字を良く見てください、先ほどの電力会社から電力会社への変更は僅か0.28%でした。しかし電力会社から新しい電力提供会社へは5%の割合となっています。僅か1年程でこの伸びは驚異的です。

なぜここまで変更が伸びているのか

電力会社の電気代は競争がありませんでしたので「普通」もしくは「高い」値段でしたが、新規参入業者がそれよりも「安く」電気代を設定したのが1番の理由です。そして電気を使う人はガスも一緒に使っているため(オール電化の家庭は除く)、セットにして更にお得になるプランも出てきたのが大きいでしょう。

実際に街中では、例えば家電量販店やショッピングモールでは「電力会社から変更しませんか?」というチラシ・宣伝などを見ることがあります。しかし電力会社から電力会社へ変更しませんか、という案内は私自身見たことはありません。この「営業力、機動力の差」が出ていると思われます。

他にも電力会社を変更するのが面倒という普及の妨げになる手続きは「スイッチングシステム」を導入しています。これは電力会社から別の会社への変更がスムーズにいくよう、契約変更を簡単に出来るようにしたシステムです。これによって気軽に、とまではいきませんが面倒な手続きは比較的簡単になりました。

新しい発電は原子力以外にもたくさん開発されている

地震が起こってからは原子力発電が問題視され、火力発電はコストが高い問題があり、その他の発電が一気に加速しています。太陽光発電・水力発電・バイオマス発電・風力発電などそれぞれ一長一短がありますが新会社も大手には引けを取りません。家の近くでメガソーラーが設置されているのを見かける方も多いでしょう、地方では水力も話題になっています。

本当の変更が盛んになるのは災害時

しかし安定的に電気を提供するのは技術もさることながら、会社の質が問われてきます。地震や津波などで発電所がダメージを受けると停電になったり、災害時の供給がどこまで対応できるのかが課題です。

本当にその電力会社でよいのかどうか、それは災害時にどこまで安定力が強いか、ダメージを追った後にどこまで素早く対応できるかにかかっているのではないでしょうか。