賃貸住宅不動産への投資・案件はそろそろ危ないのか?

首都圏を中心に地方でも賃貸住宅・マンションやアパートの建設が止まりません。人口は減っているにも関わらず、住む場所は増えている、このまま増え続けるとどうなるのでしょうか。一部では空家率が信じられないくらい上昇していると言われていますが、なぜ増え続けているのでしょうか。


日本の人口は減少しているが、外国人は増えている

日本の人口は近年は横ばいで推移していましたが、これからは急速に減少していくと言われています。少子高齢化、子供が減り未婚の若者が増え、年寄りの割合が増えていく、この流れは止まりません。総務省統計局の平成29年度1月の人口推移では、総人口は1億2686万人と前年同月から17万人も減少しました。

参考:人口統計 総務省統計局

また、厚生労働省のまとめでは、2060年の総人口は9000万人を割り込むとされています。単純に計算すると人口が現在より30%程減少するので、住宅の数も30%程比例して減少するのであれば分かりますが、逆に増えていると住む人がいるのか?というのが問題になります。

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出典:日本の人口の推移 厚生労働省

確かに外国人の日本への観光や、留学生が増えており、外国人労働者も2016年に過去最高になり100万人を超えました。日本の人口が減っていても外国人に提供する事を考えれば、減った分の需要は多少は補うことが出来るのかもしれません。一部の外国人への雇用環境は悪化していると聞きますが、国も改善に乗り出しています。

福祉・介護など人手不足の業界では外国人が増えています。日本で住む外国人は今後も増えていく事が予想されます。ということは、別に日本人口が減っていても外国人が増えていれば賃貸不動産を増やしてもなんら問題ないようにも感じます。

マンションの建設は増加している

内閣府が警鐘を鳴らすほど、現在の賃貸住宅の着工件数は増え続けています。人口が減っているにもかかわらず、どんどん賃貸住宅が建設されているのです。

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国内の賃貸住宅の新規着工戸数が急増し、世帯数の増減などを加味した潜在需要を2016年以降上回り、供給過剰となる可能性が高いことが、内閣府のリポートで分かった。利用者のニーズに合わない狭小住戸も多いと指摘しており、相続税の節税対策を背景にした賃貸住宅の「建設バブル」の発生に警鐘を鳴らしている。

出典:<賃貸住宅>内閣府が「バブル」警鐘 相続税対策で着工急増

日銀のマイナス金利で建設費が抑えられていたり、相続税対策として建設されていたり、賃貸住宅を建てやすい環境が現在の日本にはあります。地方ではありえないですが、都市部では極小住宅も増加しており、無理やり相続税対策に小さい賃貸住宅を建てると高齢者のニーズから外れ、オーナーの運営が維持出来なくなる可能性が高いというのです。

今住んでいる周りを見渡してみてください。賃貸物件と思わしき建物の工事が頻繁に行われていませんか。確かに建設している建設会社は儲かるでしょう、家主から建設費用をもらうので借り手が付こうが付かまいが関係ありません。出資者は激しい競争に直面し、営業の「相続税対策にぜひ!」と言った口車に簡単に乗らないようにしなければいけません。

都市部でもこの家賃で、独立洗面台もオートロックも、宅配ボックスも、IHでオール電化もあるのか?と言ったかなりお得な物件も出てきています。それだけ残ったパイの競争は激化しているのです。住む方は家賃が下がるので良い事ずくめですが、投資者は厳しい現実が待っています。

何十年も一括借り上げがあったり、家賃保証で将来も安心といった謳い文句もありますが、建物は経年劣化し家賃が下がった時にどうなるか想像してみてください。

空家率の増加が止まらない

東京の都市部でさえ空家率が深刻な問題となっています。世田谷区で100個あれば約13個が空き室という結果も出ています。

懸念されているのがマンション空き家率の上昇だ。すでに、東京・霞が関や大手町、新宿といったビジネス街までの通勤に1時間とかからない、世田谷区のマンションの空き家率が12.8%に上っているという、衝撃的な調査結果もある。

出典:マンション空き家率、世田谷で12%超 それでも止まらぬ建設

都市部ではまだマシな方で、これが地方にいくと悲惨な現実があります。場所によってはマンションやアパート一棟にほとんど人がいないところもあります。アメリカのゴーストタウンのように、高齢者すら減っている注意地域もあるのです。

東京や大阪など中心部では建物が古くても、設備が乏しくても需要はあります。安ければ学生や外国人に、多少高くても立地条件という武器があります。

ソーシャルレンディング投資は不動産ばかり

マネオ(maneo)を始めとしたソーシャルレンディングでの企業への投資では、そのほとんどが不動産担保付の投資案件となっています。建設ラッシュもあり、不動産事業者の物件仕入れ代金に対する融資や、東京の賃貸住宅建設への案件なども見かけられます。

しかし基本的には「建設」をして「売却」する為の資金ということも多く、運営に携わっていない限りリスクは高くないと考えられます。もし事業所運営資金として、賃貸不動産の運営資金での募集などが出た場合はリスクが高くなります。

東京オリンピックを控えて東京でも不動産事業が盛んに行われていますが、それが終わった途端にバブル崩壊とならないか心配な部分ではあります。運用期間が東京オリンピックを跨ぐような長期の案件は、リスクが高まる恐れがある為注意が必要です。