人間が生きていく上で、病気や怪我は誰にでも起こります。その際に高額な請求が来た場合に備えて「医療保険」が各社保険会社から商品として出ていますが、果たして高いお金を払ってまで入り続ける必要があるのでしょうか。社会人になったら、結婚したら、30歳を越えたらとは言われますが、保険代も家計に負担がかかります。
医療保険にはどのような物がある?
医療保険には主に3種類のタイプが存在します。
1つ目が「一生涯タイプ」の医療保険です。怪我や病気の治療や入院・通院に使えるもので、癌(がん)や脳卒中・急性心筋梗塞などが含まれているものもあります。
2つ目が「持病がある人でも保障」する医療保険です。持病があっても断られずに入れるプランで、現在の健康状態や職業などが考慮されます。
3つ目が「女性の為」の医療保険です。女性特有の病気、例えば乳がんや子宮頸がんなどを保障する医療保険です。
公的医療保険でカバーできない保険でもカバーしてくれるのが民間の医療保険の強みですが、月々の保険料が高額になることが多く家計の負担になっています。
特約やオプションを合わせると更に高額になる
怪我や病気への医療保険には特約が存在します。通常の内容ではカバーできない内容を、別途料金をプラスすることで、保険適用してくれるものです。自動車保険の弁護士費用特約(裁判になった際の弁護士費用を出してくれる)などが分かりやすいでしょう。
先進医療でもお金が出る特約や、がん保険を更にパワーアップした特約、入院や通院に特化した通院保障特約など、あげていけばキリがありません。全てを網羅しようとするとどこの会社でも「とてつもない金額」になってしまうため保険の見直しが叫ばれているのです。
ただし特約やオプションをつけたからといって、必ず保障してくれるというものでもありません。必ず保障外になる事柄というものは記載されており、それをきちんと把握して置く必要があります。意外と保険が出ない、といったトラブルも多いのです。
そしてダブって保障がされていたり、がん特約をつけなくても全くがんに対して保障がないかと言われればそうでなかったりとそこまでお金をかける必要も無い場合があります。
高額療養費制度で対応する
日本は世界でも保険制度がしっかりしています。治療費が高額になった場合は「高額療養費」が使えます。これは、自己負担の額が多くなったときに、限度額を超えると残りが後で払い戻される制度です。
高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
出典:高額な医療費を支払ったとき 全国健康保険協会 協会けんぽ
では実際にどれくらい費用を抑えることが出来るのでしょうか。厚生労働省の資料を見てみましょう。
かかった費用は医療機関だけでなく、薬局窓口の薬代などが含まれます。ただし入院時のベッド代や病院の食費などは含まれません。治療にかかった料金ということで計算されます。
100万円の医療費がかかって、保険で3割負担となりますがこれでも30万円かかります。212,570円は高額療養費として支給してもらえますので、自己負担が87,430円となっています。これは実際の加入者の所得水準によって異なります。
1ヶ月当たりの医療費が基準となりますので、年に3回以上払う月があった場合は上限が下がり3回目以降(多数回該当)は半額までは行かないにしてもかなり負担が軽減します。このようにいざという時の治療費も公的な制度で賄うことができるのです。
前払いが高額になる場合はどうするか
しかし医療費が100万円となった場合、前払い制の後から戻ってくる形式です。手持ちが無い場合はどうすればよいのでしょうか。
70歳未満の方が「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口(※1)に提示すると、1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口でのお支払いが自己負担限度額まで(※2)となります。
※1 保険医療機関(入院・外来別)、保険薬局等それぞれでの取扱いとなります。
※2 同月に入院や外来など複数受診がある場合は、高額療養費の申請が必要となることがあります。保険外負担分(差額ベッド代など)や、入院時の食事負担額等は対象外となります。
出典:医療費が高額になりそうなとき 全国健康保険協会 協会けんぽ
治療費が高額になると分かった時は、民間の医療保険に入っていようが先に「限度額適用認定証」を提示しましょう。先ほどの100万円の治療費で言うと、窓口での支払いが87,430円で済みます。
医療保険を入らなくても良い理由
現在の日本の医療はどんどん発達しています。昔であれば手術しなければいけないような病気も薬や治療法が開発され、技術の進歩には驚かされます。そのおかげで入院日数の短期間化や、手術する必要が無くなった病もあります。
医療保険に頼らずとも、貯蓄と高額療養費制度で十分カバーできる場合があります。満期タイプの貯蓄型も低利率の為、他に投資する方が効率が良いこともあります。医療保険に絶対入らなければいけない時代、ではなくなってきてるのではないでしょうか。