歯が痛む、虫歯が出来た、歯医者を予約して治療を受けたけれど来週も来なければいけない、いつになったら治るのでしょうか。内科や外科などでは全ての箇所を1度に診てもらえますが、歯医者は完治までとても時間のかかる手法をとります、どういうことなのでしょうか。
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歯医者が予約制の理由
風邪を引いたり、捻挫をしたり内科や整形外科などに行く場合は通常は予約はしません。自分の行きたい時に行き、診てもらって薬や治療を施してもらいます。しかし歯医者の場合は、ほとんどが予約制です。
これは歯医者と内科とでは先生の「拘束時間」が異なるからです。内科の場合は診察をして、点滴や注射・レントゲンなどをしてもらう際は余程小さな個人医院で無い限り、先生以外のスタッフが行います。先生は診察をしてスタッフに指示を出し、次の患者を診察と仕事をしていきます。
歯医者の場合は、先生が直接診察だけでなく削ったり詰め物をしたりといった治療まで行います。もちろんスタッフの手を借りることもありますが、あくまでメインはお医者さんです。予約をしない方式を取ると、来てもらった患者さん全員の治療を時間内に終えれない可能性が出てくるのです。そうすると患者さんが来ても、病院内でものすごい長い間待つ事になります。内科のように数10分ならまだしも、3時間も4時間も待たせるということはさすがに出来ません。
そして決定的な違いとしては「緊急性」の違いです。骨折や捻挫・高熱などではすぐに何かしらの手を打ってもらわなければ、動くこともままなりません。それに比べて歯の場合は今すぐ今日にでも治療をしなければ手遅れになる、といった緊急性は低いのです。
来週もまた来てくださいと言われる
「え、また来るの?」とツッコミを入れてしまうほど歯の治療には時間がかかります。仕事や都合で決まった時間にいけないこともありますし、病院という場所は自ら行きたいという方は稀でストレスも少なからずかかってしまいます。
なぜ1度で終わらないのでしょうか、1度で終わらなかったとしても4回も5回も、場合によっては数ヶ月通院することもあります。
通院すればするほどお金儲けになる?
グラフは、厚生労働省調査の歯科医師(勤務者)の平均年収です。2013年の調査分で、残業代を入れても年収621万円という結果が出ています。
以前は高給取りと言われていた歯医者ですが、900万円を超えていた年収は621万円にまで下がっています。それもそのはず診療所の数が増えて患者が分散されているためです。
厚生労働省の統計によると診療所はどんどん増えていき、現在では9万近くに膨れ上がっています。コンビニの店舗数が5万~6万ですので、どれくらい多いかは想像できるのではないでしょうか。
歯科医師はある程度勤務医師として過ごした後に、開業する方が多いためです。歯科医師数も10万人を超え、まさに戦国時代を迎えています。競争が激しい為、少しでも収入を増やすために何度も足を運ばすのでしょうか?答えは少し複雑なようです。
理由その1:繊細な治療なので1回で出来ない
歯には神経が通っているので、どうしても治療には慎重にならざるを得ません。通常の虫歯であれば1回から2回程で治療が可能なことが多いですが、神経が絡むと時間がかかるのです。
誤解を招いているのは、神経治療に入った場合と考えられます。
最終的に、神経治療を行なって、さし歯なり補綴処置を含めると最短でも5回の通院が必要になります。
また、慢性化している場合は、治療により痛みが取れたとしても、目に見えない深い部分の炎症や軽い症状が完全に消失するには時間がかかります。
このような場合は、治療時間は短く、しかも経過を見たりすることも多く、必然的に通院回数も増えてしまいます。
患者さん側にとっては、治療時間が短く、しかも回数が多く、何をやってんだろうという不満につながることがあります。
出典:医療法人 ほんだ歯科
経過観察をする必要があるため、何回かに分けて治療をする必要があるのです。ただ削るだけの小さい虫歯の場合は治療が早いですが、根幹の治療は長い道のりが待っています。
理由その2:国の医療費削減の縛りが多い
最近では不当な診療報酬に対しての監視や、診療報酬点数についていろいろ厳しくなっているようです。
2)医療費削減のためにさまざまな「しばり」が、保険制度に存在し、診療の抑制をせざるを得ないようになっている。
1ヶ月の患者様1人あたりのの治療費の平均が、都の平均の1.2倍以上になると、その内容にかかわらず、平均治療費の高い歯科医院から順に、行政指導を受けなければなりません。
医療費削減のための手法だとは思いますが、これでは、一人ひとりに密度の濃い治療(濃厚診療)はできません。実際、きちんと診療していても、カルテの記載が充分ではないと言う理由などで、不正請求とされ、厳しい処分が下されてしまうことがあり、医療機関にとっては死活問題です。
出典:原田歯科医院
診療よりもカルテの手間がかなりかかるため、あまり時間をかけていると他の患者まで治療が回らない恐れもあります。
・全員に同じように「時間を確保してまとめて治療」をしていくと レセプトの平均単価が高くなり、行政からの査定を受けやすくなるために、周辺医院の平均単価を参考に単価のコントロールを強いられているのかも知れません。
1人当たりに治療のコストをかけすぎると単価が上がります。周りの診療所より平均単価が高ければ、行政から目を付けられ対応しなければならないことになります。
まとめ
歯の治療は繊細な部分が多いため時間がかかるのと、コストをかけすぎると不正を行っている疑いがかかる可能性があるとのこと。不正に対して厳しく監視するのは良いことですが、まじめに治療をしているだけなのに、あらぬ疑いをかけられるとたまったものではありません。日本の総保険料がどんどん増え、少しでもコストを抑える為には何回かに分けて治療を受けるのも仕方が無いことかもしれません。