一般的に上場企業と聞くと、安定していて大きい会社で福利厚生もしっかりしていて、給与も高いと思いがちになります。しかし現実はそうではなく、上場といっても大企業の上場から従業員数人単位まで規模があまりにも異なります。地域別にワースト年収でどのような企業があるか見てみましょう。
上場会社でも高くない理由
年収が高くない理由として、その会社があまり儲かっていないというのが1番理由でしょう。業績が悪かったり、利益率の低いビジネスを取り扱っていたり、そもそも拡大しにくい業界だったりと様々な理由があります。
東証1部上場だと企業規模の大きい会社が目立ちますが、マザーズなどでは社員10人位の規模でも十分上場して維持していくことができます。社員を増やさずに、少数精鋭で莫大な利益を挙げるという企業もあり、少人数で年収が高いのはその為でしょう。
東京都で1番年収が高いのは「野村ホールディングス」で平均年収が1,579万円で、従業員数が28,672人というから驚きです。最も上の年収が底上げしているのでしょうが、それにしても驚異的な数字です。
逆に21位に「サンバイオ」というマザーズに上場している会社は平均年収が1,135万円ですが、従業員数は13人となっています。これは再生細胞薬を開発している会社で、扱っているものが特殊だからという事情があります。
東京都の上場会社で平均給与ワースト5位
1位は(3266)「ファンドクリエーショングループ」 平均年収200万円 従業員31人
ジャスダックに上場している会社で、不動産屋太陽光発電のファンドの運用などを手がけている。数字で見るとダントツに低い年収だが、平均年齢を見ると53.8歳となっている。1ヶ月の給与が16万ちょっとで、本社が千代田区となっている。定年後に雇用してもらって、報酬などがほとんど発生しない事になっているのだろうか。
2位は(3195)「ジェネレーションパス」 平均年収279万円 従業員36人
2014年東証マザーズに上場している。家具やインテリアなどをECサイトで販売している、ネット通販が主力事業。私自身ネットでよく物を買うので、どこかで聞いたことがあると思ったら「リコメン堂」という名前で楽天で店舗を出している。ページを見ると2009年ショップオブザイヤー受賞とあった。ワースト2位というくらいなので、あまり儲かってそうには・・・。
3位は(4781)「日本ハウズイング」 平均年収290万円 従業員5,829人
2002年に東京証券取引所の第2部へ上場している。主力事業はマンション管理となっている。国内のみならず海外の管理もしており、ビルの清掃から警備業務まで管理業務に関する様々なことに対応している。ページの会社概要を見てみると準社員扱いの社員が多数を占めている。平均年齢が54.1歳と高い、このようなマンション管理者や清掃の求人はどこの会社でも退職した人へ寛容だったりするので、年齢が高めで年収が低めになっているのだろうか。
追記:2017年の四季報によると、平均年齢35.8歳、平均年収527万円となっている。上記データ(平均年収290万円)は準社員を含んだデータで出されているようです。
4位は(2427)「アウトソーシング」 平均年収297万円 従業員21,826人
2012年に東京証券取引所の第2部に株式を上場している。その前は2004年にジャスダック市場へ上場していた。工場製造ラインへ、人材を派遣している会社だ。海外向けの人材会社や中南米にも進出しており、人材確保が難しくなって来ている業界でも安定した人材を投入することが強み。人材派遣会社というだけあり、平均年収は高くない。
5位は(1757)「クレアホールディングス」 平均年収300万円 従業員13人
サイトを見ると結構な頻度で会社名がコロコロ変わっている。昔の会社名のキーイングホーム・千年の杜で検索するといろんな話題の出てくる会社。太陽光事業や給排水管設備工事などがメインとなっているようだ。
東京以外の上場会社で平均給与ワースト1位
九州・沖縄地方から見ていこう。トップ1位はRKB毎日放送の1,218万円となっている。
ワースト1位は(1381)「アクシーズ」 平均年収264万円 従業員1,125人
鶏肉・鶏肉加工食品の製造や販売で国内の大手の会社だ。ケンタッキーフライドチキンと提携しているのが事業の強み。バイオマスエネルギーの発電事業にも力を入れており、ピザハット店舗の運営もしている。地方の為、平均給与は264万円と高くない。
では次に、中国地方・四国地方を見てみよう。トップ1位はベネッセの943万円となっている。
ワースト1位は(1380)「秋川牧園」 平均年収308万円 従業員254人
ジャスダックに上場している。グループ農場を福岡や山口県に数多く抱えている。食肉・鶏卵・牛乳を製造し販売しているのが主力事業だ。直宅で無農薬野菜を宅配している。安心・安全なものを国産でという売り方、今の日本人に受け入れられそうです。徹底した安全に対する意識って良いですね。
次は近畿地方です。トップ1位は、キーエンスの1,648万円で、僅差で朝日放送の1,518万円が続きます。
ワースト1位は(4764)「デジタルデザイン」 平均年収212万円 従業員11人
ジャスダックに上場している。従業員数11人の非常に小さな会社だが、システム開発や官公庁向けのシステムが主力だ。仕事で使う動画の共有サービスや、捜査支援をする画像の処理システムなどを取り扱っている、クラウド型のサービスが総務省の事業として採用されたのも大きい。
中部地方を見てみよう。トップ1位はファナックで1,276万円で2位に僅差で中部日本放送の1,184万円が続く。
ワースト1位は(3409)「北日本紡績」 平均年収276万円 従業員65人
帝人からの受託がメインの会社。合繊紡績糸メーカーとして石川県で工場を構えて、衣料用や紡績糸を生産している。アラミド繊維やセラミック材も取り扱いをはじめている。
次に東京を除いた関東地方を見てみよう。トップ1位はレーザーテックで1,038万円だ。
ワースト1位は(3011)「バナーズ」 平均年収297万円 従業員69人
ホンダの新車を販売している、不動産賃貸にも力を入れており輸入楽器販売なども手がけている。建材販売で健在も販売しており、柱としてテナントの賃貸をしている。
次に北海道・東北地方を見てみよう。トップ1位は「じもとホールディングス」の933万円だ。
ワースト1位は(4754)「トスネット」 平均年収261万円 従業員766人
交通誘導や建設現場での警備が主力。店舗やイベント会場、オフィスや病院などセキュリティーに重点を置いたサービスです。警備以外にも万引き対策や人材派遣、防犯カメラや道路規制などセキュリュティー関連の会社です。警備業は賃金が低めだとは聞きますが、だからでしょうか。
給与が低いイコールだめな会社ではない
上場企業で給与が低いと聞くと、安定していなかったり儲からない分野などネガティブな部分を想像しがちです。しかし地方では必然的に物価は下がり、給与が下がるのも当然です。地方で頑張っている会社はたくさんあり、200万円以下の年収の会社は星の数ほどあるのが現状で、そのような会社に比べると恵まれているといえます。
会社を判断するものさしとして、給与で判断するのではなくどういうことをしてどういう貢献をしている会社か、どういう事業で成り立っているのかなどを判断した上で自分なりの評価を出してみるのが良いのではないでしょうか。