国民年金では暮らせない、意地でも厚生年金に入らなければいけない

若い人から見れば、老後というものは想像ができないでしょう。今の生活がどうなっているか、そもそもそれまで健康で生きていられるのか、それは分かりません。ですが、どうなっても生活できるようにある程度は、収支について考えておく必要があります。


年金で暮らせるのか?

年金の種類について確認しましょう。日本の年金は3種類の制度が存在します。

1:国民年金
2:厚生年金
3:共済年金

3の共済年金は公務員や教職員の為、ここでは割愛します。

2の厚生年金は通常会社員などが加入する年金です。1の国民年金が2と3以外の方が加入する国民年金です。

ここで注目するのは、厚生年金に入ると国民年金にも入っている事になることです。正確には厚生年金(国民年金も含む)ということになります。

1の国民年金にも3種類あり、1つは農業やフリーター・無職・学生が入る年金です。2つ目は厚生年金にも入っていると、同時に入れるということです。3つ目は厚生年金に入っている方の配偶者で、年間収入が130万円以下の方が入れるいわゆる扶養扱いです。

年金でいくらもらえるのか?

現在は20歳から60歳までの40年間で全額納めると、満額の老齢年金が受け取れます。現在の年金額は年間で780,100円(27年4月時点)です。これを12ヶ月で割ると、65,008円となります。つまり毎月約65,000円受け取れる計算です。

厚生労働省の発表によれば、2015年度の国民年金額は、満額で6万5008円/月、厚生年金の平均的な会社員家庭で22万1507円/月となっています。

出典:年金はいくら受取れる?

厚生年金は平均的な金額で約22万円とのこと、実に15万5000円もの差が出ています。それもそのはず、国民年金だけの人は他に仕事があるから大丈夫でしょ、というのが元々の制度だからです。

しかし現在はアルバイト・パート・フリーターも多く、会社が厚生年金に加入していなくて自ら払いにいっている方も多いのが現状です。小さい会社の零細企業では、雇用保険以外ほとんど何も会社が負担してくれない、なんていうのも地方では普通にあります。

国民年金だけで生活できるのか

答えは当然「No」です。一人暮らしをしていたことのある方なら、計算すればすぐに判断が出来ます。

家賃 50,000円
食費 30,000円
電気代10,000円
通信費5,000円

保険代 ○○円
交通費 ○○円
その他 ○○円

全く足りないことが分かります。例え家賃を2万円に落としても食費2万円に抑えても、医療費などがかかってきてしまいます。持ち家の方はまだマシですが、それでも苦しいでしょう。冠婚葬祭で急な出費が出たり、町内会の付き合いでお金が必要になったり、使っている家電製品が壊れたり、とても足りないでしょう。

結婚していて相方がいるならば、まだ少しはマシになります。しかし近年は未婚者も多く、結婚していても老後に配偶者がどうなっているかも分かりません。

では、皆どうやって生活しているの?

1番可能性が高いものとして、貯金を切り崩しているということでしょう。数千万円あれば何十年か持つ、など老後までにいくら貯めないといけないなどはニュースでよく取り立たされています。

しかし限りあるものはいつか無くなります。自分の体が健康で足腰も強く、ボケずに何でも出来るなら可能性はありますが、それは無理な話です。

次に可能性が高いのは、子供に頼るということです。若い人から見るとあまりいい気がしない、親との同居です。子供も親も双方にメリットがあるならば、生活の為にアリではないでしょうか。お互い何かあったときも助け合えますし、金銭的に協力できるからです。家賃なども子供世帯が出していればどうにでもなりますし、戸建てならもっと助かるでしょう。

他は極限まで生活を切り詰める、ということです。家賃や食費を切り詰めて、病院もあまり行かない、かなり苦しいでしょう。若者ですらきりつめるのはつらいのに、体が弱る老後にこれはこたえます。

国の民生委員などが訪ねると、電気も止まってゴミ屋敷になっている独居老人がいました。引越ししたくてもお金も無いし、片付けられない、若い方の未来を見ているようで今後も増えてくるでしょう。

生きる為には制度を活用する

老後まで悪いこともせずきちんと働いてこの仕打ちか、そう思う事になるかもしれません。そうなれば国の制度や政策などを有効活用しましょう。幸い日本は見捨てるような事は現在しない国です、生活保護という最終手段もあります。具体的な金額は分かりませんが、国民年金よりはかなりもらえるそうです。

田舎に移住するという手もあります。田舎では人材不足が深刻で、地方自治体が補助金にお金をかけています。仕事も住む場所も紹介してくれるところもあり、一部の地域ではかなりの数が説明会に参加しているそうです。

ですが通常はいきなり見知らぬ土地では不安のほうが多いでしょう。何か打つ手は無いか、そう考えるとやはり厚生年金に加入するという事になります。そんな事言っても簡単に加入できるものではない、そう思う方も多いでしょう。しかしアルバイトやパートでも払ってもらえる仕事はあります。将来的に希望がその会社に持てないならば、いっそ辞めて転職するというのも手でしょう。

きちんと雇用保険に加入していれば、辞めても多少は国から失業手当を出してもらえます。きちんと税金は払っているのですから、使える手法は何でも使って老後の心配を少しでもなくしてみる、そう考える日本人が増えているのではないでしょうか。