介護の仕事場見学会へいくと、クオカードがもらえる理由と求人の現状とは

求人を探すときに使う媒体としては、主に「ハローワーク」「フリーペーパーの求人広告」「インターネット上の民間の求人サイト」の3種類が存在します。どこのサイトでもそうですが、特にハローワークとフリーペーパーは「介護職」の求人が多数を占めています。今の介護現場はどういう状態なのでしょうか。


日本で求人が1番増えている仕事は「介護」

特に大都市圏以外の地方では、介護関係の仕事が多い。それもそのはずで、高齢化社会でお年寄りや痴呆症が増え、自立できない方をサポートする場が増えたからだ。

出典:この15年で「増えた仕事」「減った仕事」は何か

介護職員は2025年に約38万人足りなくなる――。厚生労働省は6月に公表した推計で、介護業界が将来、深刻な人手不足に陥ると警鐘を鳴らした。介護業界だけではない。飲食、小売りなどのサービス業、建設、土木、運輸など、現状でも人手不足の課題は深刻。

「増えた仕事」1位は介護職員。15年間で約100万人増えたが、それでも人手不足が深刻化するほど、高齢化で市場が急成長している。

飲食業界の人手不足も深刻で、都市部での時給が1,000円を軽く超えたとのニュースも目にする。しかし元々入れ替わりも激しく、比較的誰にでも出来る仕事の為何とかなる、というのが現状だろう。

問題は介護職で、地方不況にも関わらず今が「15年で1番」求人件数は増えているのだが、スタッフの確保がままならないというのだ。

20150906-2
出典:一般職業紹介状況 厚生労働省

厚生労働省の平成27年5月のデータを見てみると、医療・福祉が圧倒的に多い。卸や小売を除けば圧倒的な数だ。

なぜ介護職に求人が集まらないのか?

生活に切羽詰っている人ですら、求人に応募したがらないという介護職だがそもそもなぜ人が集まらないのか。それは主に「3K」と呼ばれるのが理由だ。

きつい」「汚い」「給料が安い」この3つだろう。これを言うと、そうではない所もある、と言う方がいるが数の比率が圧倒的に異なる。終の棲家としてお金がある方は、別次元の世界に住めるところもある。聞くところによると、1億程貯金があれば豪華なホテルのようなところに住めるのだ。24時間専属の医師がいて、プールもあればフィットネススタジオもあり、食堂も豪華で毎日いろんなものから選べる。エレベーターは20人以上乗れて、エレベーターにイスまで置いてある。しかしほとんどの人は「介護老人保健施設」通称老健に入ったり、有料老人ホームに入る。

職員が恵まれているのは、施設の収支が潤っていてお客から利用料をたくさんもらっている施設がほとんどだ。私の知り合いが住んでいる施設に行くと、休日なせいか老人が車椅子に座らされ職員1人で15~20人面倒を見ていた。といっても、テレビを見たり、ぼーっとしている老人が多いのだが。

他の職員は掃除をしたり、他の利用者の対応をしたりで忙しい。深夜勤務も入れられ、ナースコールのようなものに気を配らなければいけない。離職率も高く、定着し辛いのが現状だ。

施設はスタッフ集めに必死

1点だけ求人の応募者にメリットがある。それは「正社員」の求人が比較的多いことだ。ハローワークの介護セミナーなどでも50代前後の応募者も多数いるし、未経験で雇ってくれるところもある。だが総じて未経験のスタッフが多くいる職場は、資格も持っていない人員が多いため、施設のサービスの質が悪い

そこで施設側はセミナーや説明会を積極的に開き、うちの施設はこんな場所で待遇はこういうものです、とアピールしている。交通費ももちろん払うし、参加するとクオカードをプレゼントします!というところまであるくらいだ。

マンションや一戸建ての住宅展示場へ見学に行くともらえる「クオカード」が、こういうところでももらえるのかと思ってします。住宅の場合は、住所や電話番号を取得できるため、後々営業攻勢されることは必須だが、介護の場合は違う。

しつこい勧誘などはされない、当然だろう。そんなことをして求職者の意欲を削げば働きに来てくれないし、その人の親などが入る場合に備えて評判は下げたくないのだ。

介護報酬は下げられていく可能性が高い

介護報酬の引き下げが議論に出ることが多い。下げれば従業員の給与も下がることは必至だろう。介護報酬とは事業者に国が払う税金だ。その介護報酬のほとんどは、介護保険から賄われているのが現状だが、年々必要経費は増えている。

そして1番の原因として、社会福祉法人が大幅な黒字だと言われるとだ。

出典:介護報酬の引き下げで、本当に困るのは誰か

2011年に社会福祉法人が黒字をため込んでいるという報道が出て、同年12月の社会保障審議会介護給付費分科会において、特養を運営する社会福祉法人の内部留保は、1施設当たり平均約3.1億円(2010年度決算ベース)であることが報告された。

しかし本当に黒字だろうか、私には何かあったときに対応する為の留保額に感じる。寝たきりや痴呆症で、動けない、外へ出せない方たちの施設が経営不能に陥った場合は最後の砦が崩れる事になる。大きな施設が額を上げているのであって、お金が無い施設も多い。平均とはそれほどあいまいな数字である。

ハローワークにいってみた

ハローワークでは誰でも検索や相談が出来る。介護職のセミナーのお知らせやパンフレットも驚くほど並んでおり、検索してみると面白いほど上から下まで介護系の求人が多数を占めている

募集をかけても人が集まらないし、来てもすぐ辞める。そういったミスマッチを防ぐために、セミナーや相談会と称してどのような仕事かを説明している。地方では若者は都会に出て行き、地方へ戻ってくることは少ない。向こうで結婚して子供ができれば、田舎は取り残されていくだろう。そして人が減り、最終的には老人も減り、求人も減っていきそうだが、それは私達が生きている間に心配することではないでしょう。

無駄なものに税金を使うくらいなら、職員の待遇改善や賃金を減らす事を前提に考えるのではなく、どうすれば定着率が上がり仕事しに来てくれるか、を考えていかなければいけないのではないだろうか。