最近の日本では住宅やマンション・アパートなどで空き家が急速に増加しています。取り壊されないまま放置され、ゴミ屋敷化や治安・衛生面・安全性で問題視されています。今後この流れはどうなるのでしょうか。
空き家率は年々上がってきている
誰もすまなくなった家、放置されている家を空き家(あきや)と言います。空き家になる原因は様々で、引越しに伴う住み替えであったり、住人が亡くなったが相続する人がいなかったり、あとの世話をする人がいなくて空いたりします。相続で引き継いだはいいが、賃貸に出すにはボロボロで朽ちていたり、募集をかけても誰も入居しなかったり、問題は多いです。
総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加
空き家数は820万戸と,5年前に比べ,63万戸(8.3%)増加
空き家率(総住宅数に占める割合)は,13.5%と0.4ポイント上昇し,過去最高
総務省の統計によると、空き家はどんどん増え、平成25年で13.5%となりました。特に地方に多い傾向で、都会では新しい建物が建ち、古い建物は取り壊される物件が増えています。地方では取り壊されないで放置され、都会は場所の優位性があるため取り壊して新築を立てるだけで需要が出来るからです。
空き家が多い都道府県は下記の5つです。
【空家率の高い都道府県ベスト5】
1位:山梨県 17.2%
2位:愛媛県 16.9%
3位:高知県 16.8%
4位:徳島県 16.6%
5位:香川県 16.6%
四国地方が特に多くなっています。
逆に空家率の低い都道府県は下記の5つです。
【空き家率の低い都道府県トップ5】
1位:宮城県 9.1%
2位:沖縄県 9.8%
3位:山形県 10.1%
4位:埼玉県 10.6%
5位:神奈川県 10.6%
なぜ宮城が空き室率が低いのか、答えは東日本大震災で住宅の倒壊や半壊が多かったためです。
地方での空き家は一戸建てが多く、都会ではアパートや共同住宅の空き家率が高いそうです。
空き家を持っていると大変な事になる
2015年5月26日に空き家対策特別措置法が全面施行されました。これによって様々な問題が動きます。
空き家を放置していると、建物がもろくなり倒壊したり、屋根や瓦が物が吹き飛んでいったり、ゴミ屋敷になったり、異臭がしたり、火事になったり、地域の住民にとってはデメリットしかありません。
出典:危険な空き家、強制撤去も 特措法きょう全面施行、自治体に権限
市区町村は治安や防災上の問題が懸念される空き家の所有者に撤去や修繕を勧告、命令できると規定。命令違反には50万円以下の過料を科し、強制撤去も可能とした。勧告を受けた物件は固定資産税の優遇を受けられず、税額が最大6倍となる。
今までは地方の自治体レベルで、持ち主に対して改善指導や撤去の条例を制定し対応に当たってきました。ただしそれにも限界があり、地方に行けばいくほど予算も限られ対応は難しかったのです。
今回のこの法律は国が定めた法律で強制力が出てきます。
このままいけば20%~30%も見えてくる空き家率ですが、なぜ増えてきたかというと持ち主が撤去に力を入れていないからでもあります。
空き家の固定資産税は通常の6分の1になっていて、減免されているからです。しかしこれからは減免が無くなり、従来の6倍の固定資産税が必要になります。
所有者に対して建物の修繕・撤去を命令することが可能で従わない場合は、罰金が科せられます。
空き家を相続時にもらわない
ではどうすればよいか、空き家は持っていても固定資産税がかかり、更地にするにもお金がかかります。都会など立地条件が良いところ以外は、更地にしなければまず買い手が見つからずに売れません。
そうすると相続時に放棄をするのが無難でしょう。使わない価値の低い土地=借金になります。しかし、相続というものは都合よく土地だけを放棄することはできません。相続全てを放棄することになります。
お金に余裕があるから面倒なので手放さない、というのも強制力がある法律が施行されてからは意味が無くなってしまいます。
リートは健在?
不動産が捨てるほどある日本ですが、国内のリート法人などは経営状態は良好です。その理由として取得している不動産が東京23区や大阪・名古屋・福岡などの都市部に集中させているからです。都市部に集中している物件は、回転率の効率が非常によく、建物が古くなっても立地のよさで借主が見つかります。
万一借主が見つからないような賃貸物件でも、更地にしたりリフォームすることによってまた新しい借主を呼ぶことも可能です。建物の再生ビジネスが成り立つので、地方より圧倒的に有利なのです。
入居率99%です、部屋数は1000室あります!のような文を見かけることがありますが、大都市に限られ、このほとんどが新築に近い物件で占められています。地方でビジネスをすれば入居率10%なんてものも普通にありますし、ここがビジネスとして成り立たせるための差でもあります。
日本国内の不動産Jリート系は、地方の地主や大家とは経営手法も対称もまるで異なり、需要の高い当たり物件しか取得しないので安定して家賃が入ってくるのです。こういう理由から、空き家が増えてもリートに投資する価値は未だ健在であるといえます。