株価が半分に暴落?ではなく「分割した理由」と「分割基準」とは

株価を見てみると半値になっている・・・これは不祥事でもあったのか?と思った方はニュースを見てみましょう。株式の分割が行われ株価が実質半分になったのです。株を持っていても突然分割をしだす銘柄は昔からありますが、どういう基準で分割をするのか。なぜそのままではダメなのか、分割する理由とは何なのでしょうか。


NTTの株はなぜ分割したの?

2019年12月31日をもって1株を2株の割合として分割されました。今後はNTTドコモが提供しているポイントプログラムの「dポイント」がもらえるそうで、貯めている人には嬉しい株主優待です。

参考:株式分割および配当予想の修正ならびに株主の皆様へのdポイント進呈について NTT持株会社ニュースリリース

約55万円必要だった株もこれで半分の約27万円で買える事になり、手を出しやすくなったといえます。個人株主の減少に歯止めがかからないのが原因で、今まで株式を購入するのに約55万円もしたため中々個人では買いにくい・・・じゃあ価格を下げようとなったわけです。分割することで企業は資産を増やすことなく、発行する株式数を増やすことができるのです。

分割の基準は明確に決まっている?

上場企業は一般的にどのようなタイミングで株式分割をするのでしょうか?今までの経緯を見ると株価が上がりに上がり、高すぎて個人ではどうみても買えない・・・という額になったら分割という事が多いような気がします。そして分割してたくさんの人に買ってもらうように・・・というのは今回のNTTの株式分割と同じです。

東京証券取引所のサイトを見ると1つの基準が存在します。それは「5万円以上50万円未満」という単位です。個人投資家が買いやすい価格がこれにあたるもので、この金額になるようにとは言っていますが、特に罰則はありません。つまり努力目標ですのでやるかやらないかは、その企業次第というわけです。

参考:投資単位の引下げ / 株式分割の仕組み・効果 JPX

それもそのはずです、一気に投機的に上がった場合に50万円を超えたからといって、その度に株式分割していたらキリがないからです。

株式分割をしたら株価はどうなるのか?

よりたくさんの個人投資家に購入・保有してもらいたいから分割したのであって、基本的にはたくさんの買いが入り、上がってくるだろうという期待感が出てきます。いわゆる株価が上がる要因としての「好材料」というわけです。

しかし別に分割すれば「買いやすくなった」だけであり、株価の上昇にはそこまで影響を及ぼしません。しかも「買いやすくなった」ということはその反面「売りやすくなった」ということでもあり、利益確定のために半分売っておこうという思惑も出てきます。

つまり「買いやすくなった」「売りやすくなった」この2つのどちらが強いかで今後の株価の上がり下がりが決まるのです。ですので分割した後の株価がどうなるかという予想は分からないのです。

株式分割しても株式価値は変わりなし

株式が分割しても表面上の変化はなく、時価が変わるわけではありません。しかしこういったイレギュラーな事が起こると、配当利回りなどを表示している大手サイトでデータが大きく狂うことがあります。

利回り2%なのに200%になっていたりしますが、このような異常な高配当は分割前と分割後をごちゃ混ぜにして計算されたもので、株価分割の影響を反映していない場合が多く当てになりません。銘柄情報のページや実際に計算して配当利回りを出すなど、反映されるまでは数字に注意する必要があります。