「本当に」保育士が足りないの?保育資格があり保育所で働かない人70万人以上

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高齢化社会で人口が減少しているといっても、一定の需要があるのが保育士です。園児のお世話をし、子供好きにぴったりと言われていた時代は終わったのでしょうか。保育士が不足していて、全く足りないと言われていますが果たして本当でしょうか。よく見てみると、求人倍率のからくりが見えてきます。

そもそも保育士とは?

保育士とは、保育所や幼稚園で乳幼児等をきちんとした環境で、健康に安全に養護する人の事を指します。簡単に言うと、保育所や幼稚園で働いている方です。

最近では集団保育施設以外にも、個別に面倒を見る家庭保育なども出てきているのが昔と異なることです。保育所などよりももっと狭い規模での養護になります。資格や認可の問題で、いろいろ問題が出てきているのも事実ですが、人手が足りないというのです。

どれくらい人手が足りないの?データは本当なの?

ではどれくらい人手不足なのでしょうか。最新のデータによるち東京の9月の求人倍率は以下の通りとなっています。

保育士不足は特に都市部が深刻で、東京の9月の有効求人倍率は5・44倍。新規開園の遅れや、定員分の園児を受け入れられない原因となっている。
一方、保育士資格があるのに保育所で働いていない「潜在保育士」は全国に70万人以上いるとされる。

出典:保育士さん復職して! 厚労省が緊急対策、支援強化へ

確かに5倍というのは異常な数字です。ただし東京に限っていえば、というところもミソです。

上記は厚生労働省が出した保育の人材不足のデータです。何か違和感を覚えませんか?そうです、年末から年初にかけてだけ、求人倍率が高いという事です。

全国平均で1倍後半、2倍近くまできているとして、その他の時期は求人倍率が急激に下がっています。これは1年中人手不足なサービス業や介護事業とは異なり、ある特定の期間だけ倍率が高いということが分かります。

東京の保育士の足りなさだけが異常

ではもう1つ異なるデータを見てみましょう。東京は5倍を越えていて、人手不足である事は間違いありません。しかし、その他の県を見てみると、そうでもないことが分かります。

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東京の求人倍率だけ突出しています。滋賀県も多いですが、それ以外は2倍以下がほとんどです。全国的に不足していると判断するのは早計で、東京の不足が他を圧倒しているという事です。ここまで人材が不足していれば、東京は子育てするのは難しくなっていくといわざるを得ないでしょう。親と同居等をしていて、あてがあれば良いですが子供を預けて仕事に行くのは難しくなってくるといわざるを得ません。

東京には仕事がたくさんあります。なぜわざわざ給与が安い、仕事が増えている保育士を選ぶのでしょうか。もっと融通の利く仕事も多いですし、地方とは異なり仕事が多い分選択することができます。もう少し分かりやすくいうと、昔はインターネットが普及していなくてテレビの視聴率が高かったのです。しかし今は多様化し、それに拘る必要が無くなったというのと似ている気がします。

都会にいくほど未婚率が上がり、結婚率が下がり、東京は他府県からの人口流入で支えられているといっても過言ではありません。

なぜ保育士が少なくなってきたのか?

1番の原因は「保育士」をしたい若者が減ったという事です。昔は将来のやりたい仕事として保母さん、保育士、幼稚園の先生などが上位を占めました。現在では時代も変わり、目指す若者が減ってきているとも聞きます。

保育計画や指導方針の作成、日誌や記録の記入などの事務作業が保育士の負担になっている。勤務時間外に作業せざるを得ない場合もあるため、事務作業の軽減のため書類作成などのICT化を進め、離職を食い止めたい考えだ。

出典:保育士さん復職して! 厚労省が緊急対策、支援強化へ

子供や園児の面倒を見るだけが仕事ではありません。事務的作業や保護者とのコミュニケーションも多く、女性が多い職場というのも関係しているのかもしれません。保護者の引取りが遅くなれば、その分残業や残って仕事をする頻度も増え、負担が増しているのではないでしょうか。

アレルギー対応を間違うと命の危険がある

保育は医療関係の仕事ではありませんし、そういう作業も普通は発生しません。しかし万が一の対応はしなくてはいけない仕事でもあります。

「アレルギーの子どもの対応を誤れば生命にかかわりますし、発達の遅れなど特別な配慮が必要な子どももいます。子どもや家庭の状況が様々ななか、保護者への対応もあります。午前7時台に始まり、午後8時以降もあいている保育園も増え、早朝や夜間、土曜日の勤務も増えています。子どもの人数によって配置する保育士の人数が決まっているため、休みにくいこともあります。

最近ではアレルギー問題が取り出され、この子は何がダメで、この子はこれがダメで、と気をつける項目も増えています。一歩間違えれば生命を脅かすので、気が気ではありません。保護者の対応で、最近小学校や中学校・高校にまで多いモンスターペアレントなど、親御さんや保護者の対応にも神経を使う必要があります。

不安は皆同じ、なぜ保育士を希望しないのか?

では実際に求職者への意識調査をした結果はどうなっているのでしょうか。やはり前述したような内容が多いのが目立ちます。

厚労省によると、1位が「責任の重さ・事故への不安」が圧倒的トップです。その次に保護者との関係をあげています。そして就業時間が不規則になることから、それを敬遠する方も多くいます。

これらが改善すれば就業希望者も増えていく可能性はありますが、責任の重さを軽減するというのは少し違う気もします。幼い子を預かるという事は、どうしても責任が存在します。大事なことは、起こったときにどうするか、起こさないようにどうしておくかを確認しておくことではないでしょうか。

保育士は不足しているが給料は少ない

増えない原因として責任と保護者対応をあげましたが、もう1つの大きな原因は給与が少なく、休みが取りにくいということです。

それらが解決すれば、保育士への就職も希望すると応えた方が多く、ここに解決のヒントが出ています。しかし、時期によって倍率にかなりの差が出る保育士、長く働いていける仕事なのかは分かりません。

給与が少ないことで有名な「介護」や「ホームヘルパー」と比べてみてください。実はほとんど変わりません。勤続年数が約8年勤めても、年収は214万円となっています。この金額は手取りではなく、総支給額でボーナス無しの場合、月17万8千円となります。この数字が平均ですので、もちろんこれより少ない年収の方は多くいます。

都会も合わせてこの数字ですので、地方では更に平均給与は下がるでしょう。幼稚園・福祉介護・ホームヘルパー・保育士を希望する場合は好きでないと厳しいというのが現状です。

では保育士問題を解決するにはどうすれば良いか

これは保育士に限ったことではありません。幼稚園教諭・介護・ホームヘルパーにも言えることです。給与を増やし、休みが取りにくい環境を変える、そして責任問題が起きたときにきちんとどうするかを決め、対策を講じておく。こうしないと就業者の負担は増すばかり、せっかく働きに来てくれた方も短期でやめられると皆が不幸になります。

少しでも働きやすい環境を整備する、これは上に立つ者(政府)が率先して改革をしていかなければ、現場レベルでは限界があります。