有給休暇が取りにくい原因は社内環境が原因、どうすれば良いか?

会社へ勤めているサラリーマンや、正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト・パート問わずある一定の条件を満たせば、有給休暇は全ての人がもらえる制度です。本来使う際に理由は要らず、自由に使って良いのですが日本の有給休暇取得率は低いという数字が出ています。なぜ上がらないのか、それは会社内部での環境が原因です。何とかならないのでしょうか。


日本の有給休暇取得率は

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出典:厚生労働省

日本の有給休暇って皆どれくらい取得しているのでしょうか。大手企業ほど取りやすく、中小企業ほど取りにくいと聞きますが、本当のところはどうなのでしょうか。

厚生労働省の最新のデータに実情の統計結果が出ています。それによると年間の有給休暇の取得率は「47.6%」ということです。男性が「44.7%」で女性が「53.3%」とのことですので、若干女性のほうが取得しやすい傾向にあります。

では、企業別に見てみましょう。思っていた通り、小さい企業であればあるほど取得率は低くなっています。しかし思ったより差はないというのが率直な感想です。

1,000人以上の大きな企業でも取得率は52.2%で、30~99人では43.2%と10%も差がありません。しかし企業数でいえば30人以下の企業は星の数ほどあります。ここが恐らく40%を軽く割り込んでいると想像しています、昔私が行っていた小さい会社ではそんな制度使ってる従業員はいませんでした。つまり、有給休暇を取っている社員が誰もいなかったという事です。

もちろん肉親や親戚が亡くなったなどの場合は、休めました。他には病気やインフルエンザなど緊急の場合は、休めました。1年で休んだのはそれくらいでしょう。実質取得率は20%~30%ほどではないでしょうか、有給休暇の話題すら出たことがありませんし、有給休暇の話を面接で出すような求職者は取るなとトップから言われてました。

ただ有給休暇を簡単に取れたとしても、サービス残業ばかりで毎日終電で帰る、というような会社だと有給休暇が取れなくても定時で帰れる会社が良いような気もします。会社によってその辺りのバランスも考慮する必要があるでしょう。

定時で帰れて、仕事も楽で、有給休暇も取れる、でもいつ契約期間満了になるかも分からない、そういう不安がある企業も良いのかどうか微妙なところです。

仕事によって取りやすさに差がある

従業員の人数によって取得率に差があるのは分かりましたが、業種によっても変わってきます。

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出典:厚生労働省

これを見てみると業種でかなりの差が開いてることが分かります。

【取得率ベスト3】

1位:【69.8%】電気・ガス・熱供給・水道業
これはライフライン関係の仕事でしょう、電力会社やガス会社など大手の会社が多く取得を奨励しているような会社が多いです。取得率はダントツのトップです。

2位:【57.0%】鉱業・採石業・砂利採取業
大手の○○商事とか、商社系列が当てはまるのでしょうか。比較的高い数字です。

3位:【55.0%】情報通信業
通信系の会社です、インフラやサーバーやシステム系の会社でしょう。特に大手の参加や都会では休みを取れる環境も良いと聞きます。地方のシステム会社やネットサービス会社はここには入らなさそうですが。

【取得率ワースト3】

1位:【32.2%】宿泊業・飲食サービス業
ダントツの最下位なのがこの業種です。ホテルや飲食店は24時間開いているところや、年中無休の会社も多く休み自体が少なそうです。ブラック企業や労働でもめている会社も多く、社会問題になっています。日本人に無くてはならない存在だけに、何とかなってほしいところですが。

32.4%で「複合サービス事業」が続きますが定義があいまいなので省きます。

2位:【34.5%】卸売業・小売業
海外から輸入したものを卸たり、お店で商品を販売したり、お客さんと企業の中間的存在です。突発的なことが起こったり、小規模の会社が多いのであまり休めないと想定されます。

3位:【38.1%】建設業
道路や橋や建物を建設したり、改修工事をしたり、土日祝でも深夜でも仕事をしているところもあります。納期があり、金額もすごいので中々休みが取れない環境にあるのでしょう。

他にも生活関連・娯楽・教育・学習支援などが続きます。24時間サービスの娯楽施設やテーマパークなどは休まないですし、塾や教師も競争が激しく少子化で休んでいる暇も無いくらい忙しいとも聞きます。

医療・福祉が50.8%と思ったよりも高いのですが、医療と福祉は分けたほうが良いような気もします。医療系は元々休みが少ないが有給は取りやすそうで、福祉の介護などは休みが少なそうです。この辺りは、もう少し詳しいデータが欲しいところではあります。

なぜ有給休暇を取りにくいか?

恐らくほとんどの会社が有給休暇が取りにくい環境でしょう。

原因は社内環境にあることが多く、制度としてはあるが周りからのプレッシャーがあると考えられています。

・周りが誰も取らない
・取得すると納期が遅れたりし、迷惑がかかる
・理由を聞かれる
・人事の評価が下がる

ほとんどこの辺りが原因でしょう。取得しようとすると嫌な顔をされ、周りで「あの人休むんだって、私達はしんどくても働いているのに」そういう陰口もあるそうです。

本来は半年で10日、それから1年ごとに11日・12日など少しずつ増えて使えるようになります。

本来は有給休暇をとった従業員を不利益な扱いをしてはいけません。しかし、表面上はそう思っていっても、心証上はあまり良く思われません。それが仕事や普段の言動に出てくるので、評価に繋がってしまうというのです。

そうすれば有給休暇を取得できるのか?

本来であれば有給休暇を取得するのは、従業員の自由です。しかし社会人として会社にいる以上はある程度考える必要があります。20日分あるから20連休もらいますなど、常識を逸脱していなければ取れるのですが、工夫が必要です。

仕事をきちんと片付けて、周りからの信頼を得ることが重要です。仕事の繁忙期ではなく、閑散期に取りましょう。申し訳無さそうにすることも重要で、理由を聞かれればある程度納得してくれそうな理由を用意するとより効果的です。

どうしても取れそうに無い場合は、半休という手もあります。もしくは早退です。病院や医療機関、家族の事など仕方が無いという理由の場合、比較的印象が悪くなりません。

上司やトップが変わらないとダメ

結局のところ、休みが取れるかは上の行動や考え方によって変わります。社員を社畜やロボットのようにしか思っていない上司や社長の場合は、期待できません。

従業員の働きやすい職場作りをしてこそ、下のものは会社の為に頑張ろうとなるものです。従業員の事を考えていない職場は、離職率も高く生産性もよくありません。

「じゃあ休みを与えなくても残業代きっちり払えばいくらでも働くだろ?」そんな考えは現代ではあまり通用しません。もちろんお金の為に働いてる人がほとんどですが、人間はロボットではなく感情を持っています。お金で人を動かすには限界があり、無理をさせるとミスも増え、結果的に上司や社長が困る事になるのです。

あなたが責任ある立場の人間の場合は、上司や社長としてまず自分が休みを取ったりし、社員を強制的に休ませるなど、会社として方針を決めて行動していく必要があります。

長い目で見ると、メンタルや不満に直結しますので人材の流出も考えられます。会社を軌道に乗せていくには、優秀な人材を確保する、気分よく仕事をしてもらうことが生き残る会社として大事でしょう。