契約社員を正社員にしない無期雇用ってどういうこと?

20151011-1

日本の正社員雇用は減少し、派遣社員や契約社員はどんどん増えていっています。特に地方では仕事に限りがあり、つきたい仕事・興味のある仕事はあまり無いでしょう。仕事なのである程度は我慢が必要ですが、待遇が悪かったりすると働く意味も頑張る意味も不確かなものとなっていきます。中には契約社員で止まり、正社員雇用にならない方もいます。

非正規労働者の数が止まらない

昔は正社員で入社後に定年まで迎える「終身雇用」が当たり前だったが、今は異なります。正社員で定年まで勤める方は少なく、勤めたくても勤められない、そもそも正社員ではないという方が激増しているのです。

出典:「中年フリーター」のあまりにも残酷な現実

アルバイト、パート、派遣、請負など非正規労働者の増加が止まらない。平成元年(1989年)に817万人で全体の約2割だった非正規労働者は2014年に1962万人まで増加。全体の37%と4割近くに迫っている。今や労働者の実に3人に1人が非正規だ。

なんと日本の労働者の3人に1人が非正規労働者とのことだ。もちろん雇用状況は一応改善しつつある、有効求人倍率も平成27年8月で見ると、1.23倍という結果が出ている。1番高い求人では東京都の1.82倍がトップで、最低の求人倍率は埼玉県と沖縄県の0.86倍た。

ただし正社員だけで見ると、全国平均は0.76倍となる。100人希望しても76人分しか枠が無い計算だ。しかも求人が増えているといっても、いわゆるブラック企業や新規の件数を競う営業職、きついといわれる介護職などの数が多い。これは地方に行くほどこの割合が大きくなり、1社でいくつも求人を出している事業所も少なくない。

仕事を問わなければ正社員でも就職は出来る、しかし中にはとんでもない仕事も混ざっている。命を削ってまで、死ぬ思いで働くというのもおかしい気もする。パワハラ・セクハラ・モラハラ・マタハラなど、これらに耐えるのが1人前と言われたのも一昔前だ。

企業は人手不足に悩まされているが、経費のかかる正社員で採用はしたくない。出来ればいつでもクビを切れるように、派遣社員やアルバイト・パート、よくても契約社員で止める場合も増えてきている。しかし中には正社員化している企業もいる、それは離職率も高く人材が確保できない企業に多い

人材を確保するにも求人情報に広告を出したり、新聞や折込、求人誌に出すのもコストがかかる。ハローワークだと無料だが、採用や面接など手間がかかるのは変わりない。だから慣れた人材に少しでも長くやってもらう必要が出てくる、自分の会社で育てて長く雇用させる、そういうサイクルが生まれてくればもっと日本の経済も豊かになるのではないか。

正社員にしないで契約社員のまま?

興味深いニュースが出ていた。保険会社大手の「第一生命保険」が期限を決めて雇用する「契約社員」を期限を設けない契約社員とするというのだ。

出典:第一生命、契約社員3000人を無期雇用 福利厚生も正規職員並みへ

第一生命保険が短時間勤務のスタッフ社員を含む契約社員3000人を無期雇用に切り替えることが9日、分かった。併せて、福利厚生制度を正規の内勤職員並みに引き上げる。契約社員の労働意欲を高めるとともに、優秀な人材をつなぎとめるのが狙い。

契約社員とは通常1年なら1年と期限を区切り、1年が過ぎれば継続が無い場合退職ということになります。アルバイトやパートよりは固定給として給与や福利厚生が良いですが、期限があることが普通ですので安定はしていません

今回「第一生命保険」は福利厚生を正社員並みに引き上げて、人材を定着させるために期限なしとするようです。

実質契約社員が期限が無いという事は、正社員とほぼ同等と考えても良いでしょう。正社員は採用試験などを突破し、フルタイムで勤務しています。今回の契約社員は、短時間勤務も含めたとあります。フルタイムで働いている方は正社員と同等といってもよいですが、短時間勤務の方も含めると、正社員とは言えないでしょう。

ですので、名目上は契約社員で期限なしということになったのではないでしょうか。どちらにせよ、契約更新がなくなるおかげで働く人にとっては安定度が増し、会社にとっても人材が安定して確保できるというメリットがあります、この傾向はよいのではないでしょうか。

探してみると日本生命も似たような事をしていました。

出典:契約社員6千人、日本生命が65歳まで雇用へ

日本生命保険が短時間勤務のパートスタッフと呼ばれる契約社員約6千人を無期雇用に切り替えることが9日、分かった。勤続5年以上の契約社員が対象。正規の内勤職員と同様に希望すれば65歳まで働けるようになる。有期から無期への労働契約の転換を定めた改正労働契約法が平成25年4月に施行してから、5年後にあたる30年4月から実施する。

こちらは勤続5年以上の契約社員対象ですが、希望すればこのような措置を取ってくれるのはありがたいでしょう。

特に保険業界は入れ代わりが激しい業界でもありますので、一度加入すると変更することはあまり無い保険という商品を使っている以上、安定的に人材が必要です。

会社にとってもコストが増大しますが、それ以上にメリットが大きいと判断した結果でしょう。それほど人材の確保に苦労していることが伺えます。

このような流れは続くか?

名目上は契約社員でも正社員と同じ待遇にしてくれれば、生活はまだ安定します。デメリットといえば履歴書に「契約社員」と書かなければいけないという事くらいでしょうか。

中小企業が大半を占める日本では、正社員化を進めるにはリスクが高いです。経済の恩恵は大企業で止まっているので、下まで降りてこないからです。しかし給与が安定して確保できなければ結婚や子供の養育も難しいですし、勉強の機会や医療を受けるにも難しくなってきます。

働く人すべてが希望すれば、日本の求人全てが正社員となる、そういう画期的な制度はできないものでしょうか。そうしないとますます日本人が減っていき、格差も広がってくるのではないでしょうか。